第19話

モクレンはだんだんイライラし始める。それが、リトルブルーの口を慌てて開かせた。


「私、自分の姿に自信がなくて。自分が醜いってことは本当によくわかっているんです。こんな顔で、まちを歩いて道行く人たちにきっと嫌な思いをさせているだろうなって。それで、どうして泣いたかというと…少し、ほんの少しだけ気になる人が」

モクレンが興味深そうに身をのりだしてくる。彼女はそのての話が大好きだった。

「ちょっとやだあ!恋愛相談ならそういってよぉ!」

「とても綺麗な人なんです。金髪ですらりと背が高くて、青い瞳はきらめく海のようでとても、落ち着いていて」

言葉を切ったのは、胸がずきりと傷んだからだった。

「だから、諦めないといけないんです」

しんと静まりかえる。鼓動がやかましく響いているのがわかった。

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