第10話
開き直った直後、彼の視界が影に染まった。長剣の切先が、ライアンの額に向けられているではないか。
「あまり戦いを舐めるんじゃない」
ライアンはそっと息を呑んだ。
殺気立った視線に貫かれる。戦いに染まり戦いに慣れた者の瞳だった。命を捨てることも惜しんでいない。
「生半可な気持ちで訓練に臨むのは君のためにならないばかりか、他の隊員たちにも迷惑だ」
長剣がそっと地面に降ろされ、ポルカの鞘に収まる。空気が少しだけ緩んだ。
「そんな気持ちでやるならやめたほうがマシだ」
吐き捨てるように言われ、ライアンの苛立ちがますます大きくなる。自分でも、不思議だった。ここまで感情が昂ったことなど人生で無かったような気もする。母を早くに亡くした時も、仲間を失った時も苦しんだが、それ以上に、なぜかリトルブルーに対して大きな焦燥感を抱いている自分がいた。やめたほうがマシ、か。その通りかも知れない。
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