第9話
周りを観客席のドームがぐるりと取り囲む闘技場で、ライアンは木製のかかしを相手に戦っていた。彼はリトルブルーにその身を助けられた日から何故かピリピリしており、周りの団員もそんな彼に少々近寄り難い空気を感じていた。
「荒れているな。手元が狂ってるぞ」
そんな彼に、いつものようになんの遠慮もなく話しかけた者がいた。黒髪の女騎士、ポルカである。
「構わないでください」
ライアンはそっけない態度で、ポルカの余裕のある微笑みを無視した。
「あの女に助けられたことをまだ気にしているのだな」
揶揄うような声色に、ライアンはぴくりと動きを止める。周りの隊員たちもそわそわとこちらの様子を気にしているようだ。
ポルカはちっぽけな幼児を見るような目で、ライアンの背中を眺める。
かかしがボキリと真っ二つに割れた。ライアンの剣が藁の屑を吐き出した。
「だったらなんですか」
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