第8話

「君が俺を助ける理由なんかないだろう。頼まれてもいないのに余計なことをするな」

ライアンはそれだけ告げて、すたすたと馬の元に戻っていった。

 騎士団は、皆馬に乗って砂漠を後にする。青ざめたリトルブルーだけがそこに残った。

思っていたよりも随分冷たい目に見えた。

自分は一体何を期待したのだろう。お礼を言ってもらえると思ったのだろうか。助けたのがただの優しさだったのか、何か下心でもあったのか、頭の中がごちゃごちゃして、自分の気持ちなのになんだかよくわからなくなってくる。

こんがらがった心を抱えて、リトルブルーは一人帰路に着こうとした。その時、彼女の肩を後ろから掴んだ人がいた。

「君、強いね。どこかで鍛えてた?」

そう話しかけてきたのは、団員の一人である中年の男だった。彼はノノと名乗り、リトルブルーの瞳を覗きこんだ。茶色い短髪とどこか無気力な笑顔が印象的だった。

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