第5評 蛇草-Recollection -~津城志織~

作品名:蛇草-Recollection -

https://kakuyomu.jp/works/16817330654612439054

作者:津城志織

https://kakuyomu.jp/users/Shiori423




※注意

私は今まで、感想を書く機会がたくさんありました。オプチャや自主企画に参加した時はそれはそれは10~20作品以上感想を書いていたと思います。ただ、そこでの感想は人に嫌われないようにすることを気にするがあまり、本当の事を言えないというジレンマに囚われてしまったような気がします。良いところを探して言い、言い方は悪いですが、良くない部分は敢えて伏せる。そんなやり方に限界を感じてきたので、今回の企画を立ち上げました。何が言いたいのかといいますと、今回のレビューはかなり辛口です。しかし、作者さんを懲らしめようとか嫌がらせをしてやろうという気持ちは一切ありません。ただただ、純粋に読んで、私自身が感じたこと、もっとこうした方が良くなると思うことを列挙しています。ただ、何度もお伝えしている通り、私はプロでも何でもないですし、私の意見が全てだとは微塵も思っていません。なので、あまり真に受けずに、こういう人もいるんだなぁと思っていただけると幸いです。




●回想

まず最初に気になったのは、「私たちは砂浜に座って波を見ていた。あの子は私に体を寄せてその波を見つめている。」の部分で、改行に違和感を感じたのでもう一度見直されることを推奨致します。1通り読んで、文章全体が柔和な感じがしたので一文ごとに一行空白を空けていった方がより味わい深さが増すと思います。「回想」は全体を通して温かみがありますが、どこか儚さ、虚ろさを孕んでいるように感じられます。最後まで読んだ後に最初に戻って読み返すととまた違った味わい深さがあり、クセになります。ヨシミは不思議で繊細な少女という印象でした。彼女の紡ぐ言葉1つ1つが繊細で、美しさを感じますが、どこか脆さ、歪さを内包しているようにも見えます。限られた文字数の中でこれほど重厚な内容をお書きになっている作者さんには脱帽です。気になること…、しいて言えば小説の説明欄(あらすじ)の部分で「みもり」の情報についてもうちょっと詳しく書いた方がいいかなと感じました。恐らく主人公かなとは思いますが、パッと見誰か分からなかったので、そこもしっかり明記していただけるとより分かりやすくなるんじゃないかと感じました。プロローグにもヨシミとミモリの名前は冒頭らへんに入れてもいいかもしれません。これは感性の違いかもしれませんので、難しいですね。敢えて名前を伏せるからこその良さもあるとは思いますが、最終的な判断は作者さんにお任せします。




●1話

冒頭に「あの子、黒百合美海はまさに完璧といってもいいような人間だった。」とありますが、「完璧な人間といっても過言ではない」にした方がいいのではないかと感じました。次に

「街を歩いていて、振り返るだけでなく、思はずついていってしまうほどの美人だった。」とありますが、振り返るの代わりに瞳を奪われるとか目を強調した表現を使ったり、付いていくよりも自然と追いかけたくなるとか迫りたくなるみたいな表現の方がいいのではないかと思いました。私はプロではないので今挙げた例も適しているとは限りませんが……。また、「私もその数多くの1人にすぎなかったと思っていた。」のその数多くの1人よりもシンプルにその内の1人でいいんじゃないでしょうか?「私だけがあの子の友達だと思っていた。」と「周りからも妬まれ、私に対するいじめが始まった。」の間に何か文が必要だと思います。例えば「でも、周りはそれを快く思わなかった。妬み、蔑み、罵声を浴びせた。いつしか、私に対するいじめが始まった。」みたいな感じでどうでしょうか?あと文中でヨシミのことをあの子と指示代名詞で言い換えていますが、主人公がヨシミのことを友達と思っている間はあの子ではなくヨシミと書き、ヨシミに嫌悪感を示して友達と思わなくなった時にあの子という表現に戻したら味わい深くなる気がしませんか?こういう類いの突っ込みは挙げ出すとキリがないので、今回はここまでで留めておきます。「話を聞くと、あの子のことが、よくわかった。」とありますが、これは具体的に彼女のどういった部分が完璧じゃないところに繋がるのか、詳細に書いた方がいいです。こういう部分ははしょらず、丁寧に書いた方がいいです。「え?」「私は驚きのあまり声が出た。あの子が生きていることは信じていたけど、生きていると言われると歓喜よりも驚きが先に来た」とありますが、ここは生きていると信じていたのだから「え」というものよりも「そう……」にした方が自然だとは思います。ただ、今回の場合、「え?」と言った方が感情の高ぶりが描写できるので、「生きていることは信じていた」を消して、「まさか生きているとは思わなかった」にした方が自然ですね。でもここを直すと回想も直さないといけないのがしんどいですね。難しい所です。「それでもいい。私は死んでもいいから、あの子について知りたい」と主人公は言っていますが、命を賭けるに相当する理由かと問われればいささか疑問に思います。その後に続く彼の「そうだよな――」も違和感を感じます。命に危険が及ぶことを心配していたのに、この発言は矛盾するんじゃないかと思いました。「僕も驚いたよ、美海が生きてたことにね。それで、ここからが本題だ。みもりちゃんは美海に会いたいか?」とありますが、このセリフはみもりをゲームに参加させる前に言った方がいいと思います。その上でみもりの同意を得てゲームに参加させる方がいいと思いました。そもそも杏一がなぜこんなにも詳しいのか謎ですが、それは読み進めていけば分かることだと思うので今は聞きません。最後に1話で7000文字は多すぎると思うので、どこかで絶対分けた方がいいですね。せめて3000文字以下の方が望ましいです。




●2話

杏一がみもりが救済を買おうとしたのを止めた理由に裏がありそうで怖いですね。「ランキング7位の人間がたかが初心者となぜ手が組みたいのだろうか。」同じ表現が複数繰り返されている箇所があるので見直して貰った方がいいかもしれないです。いきなり高ランクの人に襲撃された展開には驚きを隠せませんでした。なんか主人公の能力を上手く使って1人勝ちしようと企んでる気もしますが……。杏一はみもりを守れなかったですね(苦笑)相手が悪いっちゃ悪いが……。




●総評

まずは文章表現と文体、空白の使い方をご検討されるといいかなと感じました。その次に物語作りにおいて目的と動機に矛盾が生じないかをよく考えられた方が良いと思います。ただ、ヨシミに会いたいという理由だけで命を賭けるにはあまりに動機として弱く、私は納得することはできませんでした。それに高ランクの人に襲撃された時、思いっきり死ぬのを恐れていたので、主人公の軸がブレブレだと感じました。何かしら一貫性を持たせた方がいいと思います。




◆◇以後作者さんインタビューです。◇◆




1.簡単にあなたの事を教えてください。


――新しいもの好きな学生。




2.カクヨムを利用し始めたきっかけは?


――自分が読んで、面白いと感じる作品を作りたいと思ったから。




3.小説を書くことにおいて、どういった部分に魅力を感じるか?


――伏線、複雑な人間関係、対比、小ネタ。




4.あなたがこれまで読んできた小説の中で、最も影響を受けた作品を教えてください。


――ノルウェイの森。




5.小説を書く上で最も大切だと感じることは?


――健康管理、特に睡眠。




6.あなたの作品に登場するキャラのこだわりを教えてください。


――キャラの強い部分と弱い部分、バックグラウンドを考えています。




7.あなたの作品の中で、読者に一番読んで欲しいシーンはどこですか?


――『蛇草-Recollection-』のプロローグです。




8.将来的にカクコンなどで賞を取ることを目指していますか?また、あなたは小説家を志望してますか?


――賞を取ることを目指していますが、小説家はあまり目指していません。




9.もし、あなたの小説がアニメ化、映画化されるとしたら、主題歌は誰に歌って貰いたいですか?差し支えなければ、主人公やその他キャラの声優さんを誰にしたいかもお聞きしたいです。


――主題歌は美波さんがいいですかね。『蛇草-Recollection-』の主人公の声優は宮本侑芽さん、棚木は佐藤聡美さんがいいですね。

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