第11話 神のいる町

 神在星町かんざいほしまち

 それが、この町の名前だ。

 そして、この町には「神星神社かみほしじんじゃ」という神社がある。

 賽銭を入れて願えば何でも願いの叶う神社。その代わり、願いの代償も大きい。

 そんな言い伝えが今も残る、国内でも有名な小さな神社。

 神星神社は、いつからか「神のいる町」と囁かれるようになった。


「何で神星神社には行こうとしないんだ?あそこは、この町、神在星町を紹介するときには外せない場所のはずだ。お前は最後まで、そこに行こうとしなかったな」

「……あー!神社ねえ。有名だから、もう風子ちゃんも知ってると思ったけど」

 風子は何が起こっているのか呑み込めなかった。 

 モミジは風子を守るように前に出る。

「神社を避けたのはお前が偽物だから、だからだ。霊は神社が嫌いだもんな。それから、今はモミジに怯えている。攻撃されるんじゃないかってな。モミジの方に、一瞬視線が泳いでいた。お前には視えているんだ、最初から。モミジも、風子の側にいる黒いそいつも」

「……あー」

 留夏ー偽物の留夏は、今までとは違った低い声を発し、諦めた様に喋り始めた。

「そうだね。まあ、すぐにバレるよね。でもこれでいいんだ。ボクがずっとこんなことやってたって、何の解決にもならないからね」

 偽物の留夏の姿が消え、そこには水色の長いうねり髪に着物を身に着けた、少年の様な少女の様な、小柄な子供の姿が現れた。

「ボクはミズカ。留夏がそう名前をくれたんだ」

「…留夏ちゃんはどこに、」

 独特な雰囲気のミズカだったが、それ以上に風子は留夏の安否が気になった。

「安心して。留夏は神社にいるよ。それから、ボクは神社が苦手なわけじゃない。留夏がいるから、行ったらバレちゃうから避けてただけだ。おいでよ」

 空気に緊張感が走ったが、反してミズカは柔らかい声色で答える。

 ミズカは神社に向かうため、神星神社のある小山に向かって歩き出した。

 








 

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