第8話 入学2日目 ー玲央ー

 玲央は風子より20分ほど遅れて家を出た。

 それでも他の同級生よりは早めに家を出た方であっただろうが、道中で玲央は遭遇した。

「あれ、鏡堂くん。おはよう、今日は早めの登校なんだね?」

 烏山からすやま留夏るかに。

 主席入学で、風子の隣の席。

 風子が初日にタイミングを掴めず、話しかけられなかった女子生徒だ。

「…烏山。お前は相変わらず早いな。いや、お前にしては今日は少し遅いくらいなのか」

 玲央は留夏のことをよく知っていた。

「ん-、そうかなあ。昨日鏡堂くんと話したかったけど、タイミングなかったね。というか、本当に同じ高校なんだね。中学の同級生他にいないし、何だか不思議な感じ」

 肩くらいまでの髪の毛に、丸い眼鏡、ハーフアップの髪型。

 中学の頃から特に変わらない容姿だ。

 玲央と留夏は、中学の頃からの同級生だった。

 特段仲が良いというわけでもなかったが、留夏は誰にでも気さくに話しかけてくる。何だかんだで、玲央も中学の頃から会話をすることは多かった。

 そのままの流れで、玲央と留夏は一緒に登校した。


 学校に着くと、留夏は職員室に用事があると言って昇降口で別れた。

 先に1年A組に向かった玲央が教室で見た光景は、ふよふよと浮かんで教室を徘徊しているモミジ、風子と黒い霧、そしてー

「あれ、鏡堂くん!おはよう、今日は早めの登校なんだね?風子ちゃんと鏡堂くんの話してたとこだったんだ~」

 先程昇降口で別れたはずの、留夏の姿がそこにはあった。


 



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