第7話 入学2日目 ー風子ー
霊媒師になってほしいと言われても、もちろん風子はすぐに承諾することなんてできなかった。
「時間をかけて考えていい。本来、この世界の霊媒師は家系で決まる。親が霊媒師ならその子供も霊媒師になることが決められていて、幼い頃からそのために育てられる。だから、無関係の一般人が霊媒師になれる可能性があること自体、本当に稀なことだ」
玲央に言われ、とりあえず答えは保留して、風子はゆっくり考えてみることにした。
そしてその夜は、危ないからとモミジの提案で玲央の家に泊まることになり、朝を迎えた。
「鏡堂さん、私は先に学校に行くので。あの、泊めてくれてありがとうございました」
玲央の家から一緒に出るところを同級生にでも見られたらまずいと思い、風子は早めに家を出ることにした。
「そうか。俺もあとから行くが、念のためモミジ、先に一緒に行っていてくれ。昨日の今日だから、気は抜かない方がいい」
「せやな!ほな、行こか風子。うちが憑いてれば安心やで」
そんなわけで、風子はモミジと、黒い霧と一緒に早めに家を出た。
何事もなく、早めに学校に到着した。
「うちの炎浴びてしもたからなあ、昨日のあいつ、しばらくびびって出て来られへんのかもな。それか、もう息絶えてくれてたらええんやけど」
ふわふわと浮きながら、教室に向かう途中でモミジは物騒なことを言っていた。
早めの登校なので、校庭では部活動の練習を行っている姿もあるが、校内は静まり返っている。
「モミジさんって強いんですね。…鏡堂さんは1人で登校で、大丈夫かな」
「まああな、うちは強いんよ!それは間違いないで。玲央様よりも強い!ここ重要な。でもまあ、玲央様も昨日はへばってしもたけど、強いから大丈夫や」
よくぞ言ってくれた、と言わんばかりに胸をそらすモミジ。
「霊には1人1人能力があるんですか?」
「ん-、そういうわけではないんや。一応、何て言うか、条件みたいなもんがあるんよ」
モミジは少し言葉を濁していたようだったが、ちょうど教室に着いたこともあり、風子はあまり気にかけなかった。
(誰もいなかったら、教室でもう少し詳しく聞こうかな)
入学2日目、まだ部活も始まっていない1年生は、こんなに朝早くから来ないか、と思いながら風子は扉を開けた。
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