第3話 始まりの2人
教室で風子に相手にされず、「本当に何のことだかわかりません」と冷たく返され、置いて行かれたにも関わらず。
「なあ、そいつっていつから視えてた?何歳くらいの時だ?」
「……」
玲央に後ろから話しかけられても風子は無視を貫き、そそくさと歩く。
(あああどうしよう……!何で入学早々こんなことになってるの!?高校こそは、私は平和に……)
内心はかなり焦ってぐるぐるの状態であり、辛かった記憶も思い出しそうになり、首を横にぶんぶんと振る。
「まあ、いいや。ここからは俺の独り言だと思ってくれればいい。お前に憑いてるその霊はでかい上に強力で目立つ。今までは平気だったのかもしれないが、これからは少し気をつけて外を歩いたほうがいいぞ」
「え。……なにそれ」
思わぬ忠告に風子が足を止め振り向くと、玲央は満足げに笑った。
やってしまった、と風子が悟ったときにはもう遅く、玲央は風子の前へと出る。
「やっと俺の話聞く気になったか」
「い、いや!?な、何のことだかわからなすぎて、つい反応、しちゃっただけです」
初めて自分のことを理解してくれる人に出会えているのかもしれない。
今度こそ「普通」でいたい反面、そんなことを考える。
そのとき、高速に飛んできた矢のようなものが、玲央を貫いた。
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