第14話 一年の女を輪姦すから集合。


 ――ちっ、汗くせえな。


 里香はサッカー部の部室で、宗助のを手と口で満足させたあと、サッカー部のOBから買ったジョイント――紙巻きたばこに似ている――を咥えて火をつけた。


 宗助は満足してベンチに横になっている。

 この馬鹿は性欲だけで生きてるんかねえ。

 いまや宗助は、里香の身体に夢中で、里香の言うなりになっていた。


 ――男なんてほんとくだらねえ。


 里香は煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

 ニコチンとは違うゆったりとした快感が里香の脳内を駆け巡る。

 タバコの葉に大麻を混ぜ込んだものだ。

 これを買う金は宗助に出させたり、あとは宗助には秘密だがほかの男子部員たちを“満足”させた対価をもらって手に入れている。


 ――ほんと、女ってのは得だよな。


 そのほかにも、同じサッカー部のマネージャーやほかの女たちをOBの先輩に“紹介”して金をもらったりもしている。

 しかし腹立つのはあの山本武士郎たけしろうだ。

 クラスメートの面前であんなに屈辱的に振ってやったのに。そのすぐあとに一年女子が毎日弁当を届けてくるもんだから、せっかく笑いものにしてやろうと思ったのに、もう里香が武士郎を振ったことなど過去の話題になってしまった。

 おもしろくない。

 あいつらの顔を思い出すだけでムカムカする。

 大麻程度では怒りが全然収まらない。

 いったんでも武士郎の告白をOKしてしまった自分にも腹が立つ。

 少しは見た目と声は悪くないとおもったからだったが――。


 それに、あの一年。

 ちょっと顔がいいからって生意気な態度をとりやがって――。


「ねえ、宗助。話があるんだけど」

「なんだ」


「ほら、あの、山本武士郎っているじゃん」

「ああ、あいつか……」


「あいつの一年の彼女いるでしょ」

「ああ。サッカー部にもあいつに声をかけて秒で断られたやつ何人かいるぞ、見た目はいいからな。里香、ジョイント俺にも吸わせてくれ」


 里香は吸いかけのジョイントを宗助にわたす。

 宗助はそれをゆっくりと時間をかけて吸い込み、煙を灰にいれてしばらく目をつむって成分が全身を駆け巡るのを待ち、そしてまたゆっくりと時間をかけて煙を吐き出す。

 このサッカー部の部室の中は大麻の匂いで充満している。

 大麻というのはダウナーな麻薬で、摂取すると気持ちのよい陶酔感と酩酊感に襲われ、ふわーっとして気分がよくなる。

 その酩酊の中で、ふと里香は口に出した。


「あいつ、あの一年さー。ツラいいし、センパイたちに売れば儲かるんじゃね?」


 宗助は答える。


「あーそうだなー。でもセンパイたちに売るとぼったくられるからさー、俺たちで管理すればいいんじゃね? 正直、あいつなら俺も一回ヤッてみたい」

「じゃーいつものメンバーでさ。あの一年、輪姦マワそう。動画撮って脅して、私たちであいつにウリさせて儲けよう」


「うん、、いいな。そうしようぜ。……武士郎の奴、どうする?」

「どうするって囲ってぼこればいいんじゃね?」

 

 里香がそういうと、宗助は困ったような口調で、


「あいつの友達の大山田いるだろ、あのでかい柔道部員。あいつの親、警察の偉い人なんだよなー。機動隊出身でいま副署長だってよ。めんどくさいだろ? だから、あの笠原って一年の女、あいつ一人の時にさらって輪姦してケツの穴まで撮影してさ。あとでRINEかなんかで武士郎に別れるってメッセージ遅らせればそれでいいよ、どうせ最近つきあったばかりの女だろうし、それで武士郎もあきらめるだろ。……あとであの笠原って女にピースサインさせて裸の写真を送りつけてやると面白いかもな、NTRってやつだ、あははは」


 うん、楽しくなってきた。

 里香は大麻の効果もあいまって、にやにやと笑った。

 自分の指示でほかの生意気な女を地獄の底に沈めてやる。

 それだけでゾクゾクしてイキそうになる。


 こんな気分のいいことはない。

 あの笠原とかいう一年の女。

 着やせするタイプだけど、けっこうでかい乳していなかったか?

 里香は新しいジョイントに火をつける。

 ふん、この火を押し付けて一生消えない傷をつくってやる。

 ははは、あの女、どんな顔をして泣くのだろう。

 どんな顔をして謝るのだろう。

 裸で土下座させて撮影してやるよ。

 里香はyphoneを手に取ると、グループRINEを開いた。

 そこにはいつものメンバー。


〔一年の女を輪姦すから集合。一人一万ずつ配るよ。ゴールデンウィーク明けの朝な〕

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