12/24(side:A)-後半(後日加筆予定)

 しばらくそのまま抱き合った後、私はもう一つ伝えておく事にした。


「それと……私から一つ言わせて欲しい。もし、私にどこか気に入らない所があったらいつでも言ってくれ、すぐにでも直すから。だからお願いだ。もう中学生の時みたいに離れていかないでくれ」


 数年間、心に引っかかり続けていたのに言う事ができなかった事だった。この感情が恋だと自覚した昨日まではこの感情が怖かった。あからさまに自分の側にいて欲しいと言っているようなモノだったから。

 そんな言葉を口にして、今更ながら自覚する事ができた。

 私は夢希の事が好きだったのだと。


「え……中学生の時ってもしかして中二ぐらいの時か……?」


 夢希は少し困惑しているらしい。それもそうか。突然こんな事言われて困惑するなと言う方が難しいのかもしれない。


「あぁ、あの時は寂しかったんだぞ?まぁ……おかげで性格もお前に釣り合うように矯正できたから、必要な時間だったのか……?でも……」


 自分でもわからなくなって来た所で夢希に口を挟まれた。


「は……?ちょっと待てよ……もしかしてお前、俺がお前を避けたと思ってたのか……?」


 普通に考えたら嫌になって避けられたと考えるのが現実的だ。それとも何か違うと言うのか?


「……違う……のか……?」


 夢希は頭を掻きながら照れくさそうな顔をする。


「いや、なんつーか……あんまり言いたくなかったけど……あれだよ。俺が真央みたいに魅力的な子と関わり続けたら迷惑かかるかなって……釣り合わないと思ってたし」


(え……)


「じゃあ、私の勘違い……?」

「まぁ、そうなるか……」


 色々と分かって行く度にどんどん我慢できなくなっていく。

 もう一度、夢希を強く抱きしめた。


「自分でも重い女だなって驚いてる。でももう、抑えられないんだ……夢希、ずっと側にいて欲しい。さっきも言っただろ?釣り合わないとかじゃ無いんだよ。お互いに歩み寄れるか否かなんだ、きっと」

「大丈夫だ!もう二度と寂しい思いなんてさせない!……俺、真央が引っ越しても絶対会いに行く。毎月、毎週。いや、毎日絶対に会いに行くから!」


(……?)


 またもや意味不明だ。


「私が引っ越す?何故そんな事をしなければならないんだ?せっかくお前と恋人になれたばっかりなのに……」

「……?」


 (引っ越すだなんて……私はそんな事一切聞いてないが……)


「まさか……あークッソ!あの野郎騙しやがったな!」


 夢希は一度舌打ちをしてその後大きくため息をついた。

 なんとなくだが、私はが誰なのかは察しがつく。


 (神楽坂のやつ、妙な手で夢希に発破をかけたな…… まぁ、でも結果としてこうやって夢希と恋人同士になれた訳だし、今度お礼に何か奢ってやるとでもしよう)


 それはそうとして。


「ハハッ……なんかどっと疲れたな……」


 夢希が乾いた笑いを上げた。確かに私もこの数分のやりとりだけで相当疲れていた。


「そうだな……。でも私はちょっとたのしかったぞ?ここ数日分の不足していた夢希ニウムが一気に摂取できたしな」

「いやなんだよ、夢希ニウムって……。まぁ、ともかく行こうぜ?商店街」


 (夢希ニウムってそんなに変な言葉だったか?私は大真面目に言ったつもりだったのだが……。昨晩読んだサイトにも恋愛は心の栄養分って書いてあったし、栄養分として「夢希ニウム」という名前は妥当なのでは……?)


 少し腑に落ちない部分は残ったが、私は夢希と共に商店街へと向かう事にした。



***


力尽きました。

商店街描写はsideBで書いてその後こっちにも移植します。

許してください。

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