プロローグ(side:B)

 俺の通う高校から家までの道のりには商店街がある。

 過疎化の影響もあって、いつもはほとんどのシャッターが降りているこの場所ではあるが、いつもとは打って変わって騒がしさが訪れる時期が一年間に三回存在する。年末年始と夏まつり、そして今日、十二月二十四日。すなわちクリスマスイブだ。


 俺は非日常感が好きで、小学生の頃は毎年仲のよかった友人同士で集まって遊んだものだった。

 この日の為に貯めておいたお小遣いで色々な物を食べ歩きをしたり、好きな幼馴染の事を揶揄からかったりしていた光景は、今でもたまに夢で見ることがある。

 


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 (で……どうしてこうなった!?)


 そして高校生となった今現在、俺はそんな思い出場所をと恋人同士として手を繋いで歩いているという状況に緊張が抑えられないでいる。彼女も流石に見知った人も多い場所で手を繋ぐのが流石に恥ずかしいのか、さっきから耳が赤い。

 だが、その緊張と同時に俺は昔と同じぐらい……いや、それ以上に楽しいと感じていた。改めて、自分が彼女が好きなのだと自覚する。

 

 昔から彼女と関わりがあった人達はよく、彼女が昔よりもそっけなくなったと言う。

 確かに昔に比べると幾分か静かになった彼女に、周りの人達は近寄りがたい真面目系という印象を受けているかもしれない。だが、実際は今も昔もちょっといたずらするとすぐムキになってやり返して来る所や、甘い物を前にすると目が輝いている所は変わらない。

 そうやってころころと変わる表情はいつまで経っても見飽きないし、最高に可愛いのだ。

 

 だからこそ不思議だ。こんなに魅力的な彼女が、なんで俺の事を選んでくれたのか。彼女にとって俺はいつもダル絡みをして来る面倒な幼馴染にすぎなかった筈だ。好きになってくれる要素なんて一つもなかったように思える。

 まぁ端的に言うと、俺は彼女が自分の恋人になってくれた事がまだ信じられないのである。



***

おはようございます。プロローグ(side:B)楽しんでいただけたでしょうか?


次は12/21に本編を更新します。

楽しみにお待ちいただけると幸いです。


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