腐れ縁の幼馴染との恋愛は成立するのだろうか?

錦木れるむ

プロローグ

プロローグ(side:A)

 辺り一面が煌びやかなイルミネーション彩られた、クリスマスイブの商店街。いつも通学路として使っている閑散とした場所とは思えないぐらい、沢山の人々で賑わっている。

 そして、そもそも人口の少ないこの町だ。分かってはいた事だが、すれ違って行く人々の中には見知った顔も多い。

 彼らは私達に気がつくと大概みんなニヤニヤしながらこっちを見てくる。


 どうやら、多くの人が行き交う場所で好きな人と手を繋いで歩くという行為は自分達が思っている以上に緊張するもののようだ。

 いつも呑気な彼が隣で顔を赤らめているし、私だってこれまで経験がなかった程に耳が熱い。

 何より、繋いでいる手はお互い汗でぐっしょりだ。

 「おーい、手を繋ごうって言いだしたのはお前じゃ無いか、それなのにどうしてそんなに顔を赤くしているんだ?」と、彼を茶化したい衝動に駆られるも、今はそっと胸にしまい込む。

 そんな事を言ったら……きっと手を離そうとしてしまうだろうから。

 

 (恥ずかしいけど、今は出来る限り長い時間このままでいたい。かも……)


 そう、この状況は恥ずかしくはあるが、幸せである事もこの上無いのもまた事実なのだ。

 ずっと一緒にいたのに、私の勘違いのせいで私達の関係は平行線を辿っていた。だからこそ、彼の気持ちが知れた……いや、自分の気持ちに気づくことができたこの四日間はこれまでの十七年間の人生で最も密度が高いと言い切れる。

 つまり、ただの腐れ縁でしか無かった彼が今は私の恋人だと言う事実、私はこれが堪らなく嬉しいのだ。



***

12/21からクリスマスまで投稿していきます!12/13には、プロローグ(side:B)を投稿します!


楽しみに待っていただけると幸いです。


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