第4話 因果律

「言葉の意味…わかるよね?あのクソッたれな世界から戻って来たんだよ。君と同じ」


「あれはやっぱり…夢なんかじゃなかったんだな…」


「まぁ信じられないのも無理ないよ。私はギフトの性質上受け入れるしかなかったけど」


 日常が音を立てて崩れていくような感覚の中で聞きなれない単語に我に帰る。


「…ギフト…?」


「そ、君も貰ったでしょ?頭の中にアナウンスみたいなの流れなかった?」


『ヒトタラシを授けます』


 死後の世界で死ぬ間際に頭に響いた頭に来るアナウンスを思い出す。


「…あっ」


「ふふ、心当たりがあるみたいね」


「ならさ、私を守って」


「待てよ、守れも何も貰ったからってギフトが何なのかも使い方もわかんねえんだぞ」


「ちゃんと説明するからさ、使い方も教えてあげる。でもこれは私にもリスクを取ってる選択だからさ、聞くなら約束して欲しいんだよね。必ず私を守るナイトになるって」


「…馬鹿なのか?交換条件にもなってねえ。こっちはギフトが無くても生きていけ「「死ぬんだよ」」


「は?」


「君は2023年の7月7日に電車の脱線事故に巻き込まれて必ず死ぬ。」


「お前っ…なんで、知って…」


「これが私のギフト『ストーカー』の能力。生還者の簡単なプロフィール。死亡日時。詳細。そして…ギフトがわかる」


「ギフトが…?」


「うん、君の見えてるよ『ヒトタラシ』だって?」


 鈴音はぷぷっと茶化すみたいに言い当てた。


「話が逸れちゃったから戻すね。このままギフトを使わないままだと必ず君は死ぬんだよ。因果律って言うのかな。必ず同じ道を通らされる引力みたいなもの。それはこの世界にあるものだけでは抗えない。だからギフトっていう救済措置があるの」


(にわかには信じられない。だが現に鈴音は僕の死因と日時。さらにギフトまで言い当ててる。つまりこのままギフトを使って7月7日を乗り越えなければ必ず死ぬ)


「最初から選択の余地なんてないじゃないか…」


「ヨロシクね、ナイト様っ」

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