第5話 パーティー②

 コツコツコツ。


 ミステリが石畳を踏みしめて歩いてくる。

 モデルのようにきれいに歩く姿にシンプルな服が揺れてスカートの裾がひらひらと踊り、アクセントのイヤリングがキラキラと輝きながら揺れた。


 お互いの自己紹介が終わると俺を見てミステリが言った。


「この服、どうかな?」

「似合っている」


 モモイロが俺とミステリを見た。


「ミステリとフラグって、似てるよね?」


 ミステリと俺を見比べる。

 単色の服、同じ黒目黒髪でイヤリングをつけているためペアルックに見える。


「髪色とかイヤリングをつけているのが似ているかもな」

「うーん、そうかも」

「それよりも、ミステリが良ければ石化解除記念の歓迎会を開きたいんだけどいいか?」


「いいの?」

「材料も料理も俺が準備するから、それに適当に理由をつけて騒ぎたいだけだ」

「うん、お願いするわね」


「モモイロとバットも参加できるか?」

「するよ」

「僕も参加するよ」

「決まりだな。家は防壁内の森になるからちょっと遠いけど歩こう」


「フラグって王子なのよね?」

「城を追い出された」

「え?」


「フラグが部屋を爆破するから」

「モモイロ、生産職を分かってないな。設計図が出回っていて作り方が確立している魔道具に価値は薄い。誰でも作れるからな。でも新しい製品は爆発する危険もあるけど、1点物で価値が高い。新しい道を切り開いていくには何度も失敗してその失敗の積み重ねが成功に繋がるんだ」


 ミステリが口に手を当てて笑い出した。


「ふふふふ、ごめんなさい。フラグ、質問していい?」

「ミステリ、何だろうか?」

「爆発しない物を生産するじゃ駄目なの?」

「それも作るし、爆発するかもしれない魔道具も作る、でも最近は爆発していないぞ、コツが分かってきた」


 みんなが笑う。

 こういう何気ない会話が楽しい。

 4人で歓迎会をやるのが楽しみだ。


 森に向かおうとすると兵士が走ってきた。


「フラグ様! レギオンバードが防壁の外に現れました!」


 レギオンバードはでかいニワトリで基本群れで行動する。


「最強のフラグパーティーに協力をお願いします!」

「倒したレギオンバードは貰っていいか?」

「はい、問題ありません!」


「倒してくるか」


 4人で防壁に向かった。



 防壁の上に登ると遠くからレギオンバードが歩いてくる。

 このままだと門を破壊されるだろう。


 収納魔法でスイッチを取り出した。


「防壁の外を爆破するから皆で耳を塞いで壁に隠れて欲しい」

「フラグ王子が爆発を使うぞ! みんな伏せて耳を塞げ!」

「王子! ちょっと待ってください!」

「バカ! すぐに耳を塞げ! 防壁に隠れろ、石が飛んでくるぞ!」


 レギオンバードが人の気配を感じると走って防壁に向かってきた。


 ドドドドドドドドドドドドドドドド!


 カチ!

 チュドドドドドドドドーン!


 地面から無数の爆発が発生して土煙が舞い上がり石が防壁の上まで飛んできた。

 兵士が土煙でむせる。


「げほげほ、オーバーキルですよ」

「さすがクレイジーフラグのボム」

「げほ、げほ、爆発をここまで強力にする必要があったのですか?」


「いや? 足りなかったらしい。8割程度しか倒していないからな」


 土煙が収まると生き残ったレギオンバードが門に迫った。



 俺は右腕のブレスレットに魔力を流した。

 ブレスレットがうにょんと形を変えロープに変わると防壁にロープを引っ掛けて防壁を飛び降りる。

 ブレスレットから伸びるロープにぶら下がりながら地面に着地すると、ブレスレットを刃のついた鞭に変形させた。


 鞭を振るとレギオンバードが真っ二つに切断されて倒れていく。


「はっはっはっは、俺1人で十分だ!」


 すべてのレギオンバードを倒すと、収納魔法で回収してブレスレットをロープに変えて上に伸ばしひっかけてロープを伸縮させると防壁の上に登った。


「今日の歓迎会はは焼き鳥にしよう! 焼き鳥を回収して来る!」


 兵士が一斉に呟いた。


「「クレイジー」」






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