第148話  最終確認

「『……では、作戦の最終確認を行なう』」


 テイラー総会長の声で会議が始まる。


「『しかし、作戦内容はアンダーソン殿と白岩殿が殆ど決めてしまった為、……アンダーソン殿、作戦の流れの説明を』」

「『え、俺!? 作戦立案は真し———』」

「『レオ、大人なんだから貴方がしなさい』」

「『ソフィー!?』」


 総会長のハドソン・テイラーが会議を始めるが、テイラーの言う通り、今回の作戦はほぼ全て真白とレオの二人が強引に決めてしまった為大人のアンダーソンが流れの説明をすることになる。

 レオは面倒く下がりなのか文句を言おうとしたが、ソフィー強めの言葉で命令されたので、レオがすることになった。


「『あー…では、今回の作戦の流れだが、簡単に言うが、ダンジョンから氾濫してくるモンスターを各入口毎に討伐して貰うだけだ。振り分けは北口は俺、東口と南口が真白の二人で単独でやる。西口がその他の探索者たちだ。戦闘職以外の支援側もそちらに行ってくれ。以上』」


 レオがざっくりと作戦の概要を説明する。

 ざっくりとし過ぎてるが、時間があまり無い為周りは何も言わない。


「『何か質問はあるか?』」

「『では、一つ』」


 レオが周りに問うと、テイラー総会長が手を上げる。


「『ただの確認と言うか、一応情報共有だが、西口側の部隊の編成などは昨日こちらで決めさせてもらった』」

「『分かりました。其方の方は任せます。他に質問はあるかー?』」


 レオが再び問いたが誰も手を上げない。


「『……真白、これで大丈夫か?』」


 誰も手を上げなかった為、最後にレオは作戦立案者の真白に一応確認した。


「一つだけ変更しても宜しいですか」

「『なんだい?』」


 しかし、真白は作戦変更があるようだ。


「え〜……これはただの保険なのですが……彼女を西口の部隊に加えて下さい」


 そう言って、真白は後ろにいるアトラに目を向ける。


「「「『…………………………………』」」」


 室内が一気に静かになる。

 ここにいる殆どの者は先程からずっと居るメイド(アトラ)が気になって仕方がない。大事な会議にメイドが居れば場違いにも程がある。


「『………その前に真白。……一つ訊いていいか?』」

「はい」

「『……………そのメイドさん、……人じゃないよな』」

「「「『ッ!!?』」」」


 レオの一言で周りの者が驚く。殆どの者たちが「嘘だろ!」と言いそうな反応だが、中には「やっぱりか」と僅かだが違和感を感じてた者も居た。


「アトラ、挨拶して」

「はい、マスター。……お初にお目にかかります。私、M.Mマシロ.メイドシリーズのホムンクルスメイドのアトラと申します」


 カーテシーをしながらアトラが挨拶する。

 アトラはホムンクルスだが、見た目は普通の人間と言ってもいいくらいの姿をしている。けれど、体内の魔力の流れはどちらかというと若干モンスターに近いため高位の探索者なら違和感を感じる。

 探索者達は普段は個人差はあるが魔力をうっすらと纏う様な感じだが、モンスターは常に体内の魔力が激流の様に流れている感じだ。


「『もうマジで人にしか見えないな』」

「人生で一番頑張りました!!」

「『……………(ヤベ〜……超俺好みのタイプだ)………』」


 どうやらレオは、アトラの様な女性が好みらしい。

 金髪蒼眼でロングのポニーテール。メイド服はクラシカルタイプで雰囲気はクールだが表情はお淑やかで優しい年上のお姉さんだ。


「『……ンンッ!!……OK、分かった。全然いいぞ。勿論彼女も強いだろ。…総会長、いいよな』」

「『構わない。むしろ助かる。もしもの時は頼りにする』」

「マスターの命です。もしもの時は必ず役に立って見せます」


 アトラの参戦は殆どの者がかなり好意的に受け入れられた。

 

「『では、最終確認は終わりだ。この後は戦いに向けてそれぞれ準備してくれ』」


 こうして、最終確認の会議は終わった。

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