第142話 分かってない
その後、龍也と相良も加わり話しを再開する。
「『『生産組合』にはアイテムなどのの支援、『光の癒し』は治療と結界の支援のご助力感謝します』」
「こちらこそ、全力で支援出来るよう、うちのクランで腕の立つ治癒師と結界師を連れて来ましたので」
「俺ら『生産組合』も全力で支援します。それと、『欠損部位再生ポーション』も有るだけ持って来ました」
「『ありがとうございます。そのポーションの存在は大変助かります。支援場所などの割り振りは後に話し合いがあると思います』」
お互い挨拶を終え、今後の自分達の行動の確認を行う。作業の振り分けについてはこの後話し合うようだ。
「それより……白岩さん。あの作戦は大丈夫なのかね。確かに貴女一人だけなら大丈夫だろうが、アンダーソン殿を一人で一つの場所を担当させるのは無理があるのではないか?」
「『レオ君。確かに今まで貴方は無謀な事をしてきたけど、今回のはダンジョン内じゃないから逃げる事は出来ないし、失敗も許されないのよ。もし、何かあったら、貴方はそう簡単に死なないかもだけど、近くの重要施設はただではすまないのは解っているでしょ』」
実はソフィーが無謀だなどと言っていた理由はレオの身の安全ではなく、ダンジョン付近の施設の安全だ。
「『特に最重要の研究施設と病院はなんとしても守らないと。病院の患者達も殆どが特殊な病気だからまだ避難が終わって無いのよ』」
「『分かってるって。ってか、ソフィー達勘違いしてる。俺は役割はあくまで彼女が来るまでの時間稼ぎだぜ。別に一人で一つを終息させる訳じゃない。話しちゃんと聞いてた?』」
「『………………………』」
そう、レオの役目はあくまで時間稼ぎ。真白が東口と南口を終わらせ次第レオの居る北口に向かう予定だ。
だが、真白が会議で発言した、レオに単独で一つを担当させる案が衝撃的だった為、レオが時間稼ぎをするではなく終息させると捉えてしまっていた。それほど周りが勘違いするくらい動揺していたのだ。
「『……フゥ〜…まぁいいわ。貴方が大丈夫と言うならそれでいいわ。ただし、前のスタンピードみたいなくだらない理由でやり過ぎないようにね』」
「『ハァ〜ィ……』」
ソフィーにやり過ぎるなと言われたレオはなんともいえない表情をしていた。
「いったいどんな理由で半壊させちったんですか?」
「『……ハマってるソシャゲのピックアップガチャの期限が終了する寸前だったから、急いで終わらせたかったんだ』」
「あ〜、なんとなく分かります。期限ギリギリになるとどうしても引きたくなりますよね」
レオの理由に真白もなんだか共感できる所があるのか納得した。
「白岩さん、君もやり過ぎないように」
「はぁ〜ぃ……」
会長組から全く同じ事を注意されるSSSランク組の二人。けどれど会長組、特にソフィーは長年の付き合いだからなんとなく分かる。多分無理だなと。
「大丈夫かな〜……………」
「『桐島会長…一つだけアドバイスが有りますよ』」
「なんですか? …カーティス会長」
「『彼等がやった事に関しては……『またか』と、素直に受け止めるしかありません』」
「……そうですか」
桐島からしたらその言葉は結局どうすることも出来ないと言われている様なものだ。実際その通りである。
桐島とソフィーはお互い疲れた様な顔で苦笑いを浮かべる。
「あ〜…ちょっといいですか」
「ん? どうした、龍也君」
そんな中、龍也が間に入ってきた。
「白ちゃん達を庇う訳では無いんだが……桐島さんとカーティス会長も、SSSランク探索者のことをまだよく分かってないです」
「?? どういう事だ?」
「『??』」
龍也の『分かってない』と言う言葉に、桐島とソフィーは疑問を浮かべる。
「お二人は会長だから政治的な考え方で頭が固くなってしまってるんですよ。この二人……いや、SSSランク探索者は規格外なんですよ。俺たち普通の探索者とは訳が違います」
会長組の二人は普段は殆どが協会で仕事をしている為、探索者としての勘や考えが偏ってしまっている。
しかし、龍也は俯瞰的に沢山の探索者を見ている為、真白がより異質な存在なのかを少し理解できる。
「
「「『……………』」」
龍也の言葉に会長組が黙る。龍也の言ってる事が確信を着いてるからだ。
「それに時間が無い事ですし……白ちゃん。まだ準備する事が沢山あるんだろ。素材は大量に持ってきたぜ」
「ありがとうございます。龍也さん」
こうして真白(とレオ)の説教も終わり、各々準備に取り掛かるのだった。
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自己都合により、投稿の更新が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。
今後はなるべく期間を二、三日に一話のペースで投稿出来るようにしたいと思っています。
読者の皆様、どうか今後ともよろしくお願いします。
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