第132話 呼び出し
球技大会を終えてから二週間が経った。
球技大会を終えた翌週にはテスト期間に入った真白。そして、更に一週間が経った今日、学年末テストが終わった。
「真白〜…今回難しすぎたよ〜〜」
「最初から分かってたでしょ」
「美梨姉さんから聞いてはいたけど、これほどとは思わなかったよ」
真白の学校は進学校ではある為か学年末テストは少し変わっている。
まず、出題範囲と問題数が非常に多い。その範囲は三学期の授業内容だけでなく、一学期と二学期の範囲も含まれる。
そしてもう一つ、将来の受験を見越して過去の名門大学の入試の過去問も出題される。
「これ、間違いなく学年平均落ちてるよね」
「だろうね。随分前から美梨姉さんに聞いてた私達は覚悟出来てたけど、他の生徒の殆どはきつかっただろうね」
「……ちなみに真白は?」
「ちょっと難しかっただけで、殆どいつも通りだよ。理系は見直しする余裕があったから、多分全問正解。文系も大体いつもと同じ手応えだったよ」
「この天才め……」
流石学年成績不動の一位と言うべきか、やっぱり真白は天才である。真白からしたら今回のテストもそこまで難しい訳ではないらしい。
「佳織、白岩さん。……テストの手応えどうでしたか?」
「あ、輝夜……その感じからすると、輝夜は大変だったみたいだね」
そこに、疲れ切った顔をした輝夜が話に入ってきた。
「名門進学校なのは知ってましたけど……まさかここまで難しいテストを出題するとは……」
「まあ、初めて受けたテストがこれじゃあ無理もないよ。うちの学校、学年末が特殊なだけみたいだし。…それにアタシも散々だったから」
「白岩さんはどうでしたか?」
「いつも通りです」
「輝夜…真白は探索者だけじゃなく頭脳も可笑しいから。これは例外よ」
「人をこれ呼ばわりしないで」
輝夜がきた途端口数が少なくなった真白。幾ら授業の成績が優秀でも、協調性などに関しては劣等生だ。
「はぁ〜……テストの結果がどうなるか怖いなぁ〜……」
「そうですねぇ〜……」
佳織と輝夜はテストの結果がどうなるのか不安でいっぱいだ。
「さて……今日も帰ったら多摩川ダンジョンに潜るか」
「「……………………………………………」」
そんな中、真白がまた普通の学生ならあり得ないことを言い出した。今、真白は『今日も』と言ったのだ。つまり、テスト期間中でも毎日ダンジョンに潜っていたということだ。
その真白の言葉に佳織はジト目を、輝夜は驚きと畏怖の視線を送っている。
「……ちなみにだけど真白…あなた今、多摩川ダンジョンは何階層まで到達したの?」
「57階層だよ」
「……やっぱり昨日の更新記録は真白だったのね」
ここのところ真白は多摩川ダンジョンにしか潜っていない。それもこれも、食材の供給と自身の欲望の為である。
キンコンカンコーン〜!
『生徒の呼び出しをします。一年一組、白岩真白さん。大至急職員室までお越しください。繰り返します。一年一組、白岩真白さん。大至急職員室までお越しください』
キンコンカンコーン〜!
そんな話をしていると、突然放送で真白が呼び出された。しかも大至急とは、滅多な事ではないだろう。
「真白…あなた何したの」
「私何もしてないよ」
真白も心当たりがない為戸惑っている。
「取り敢えず…言ってくる」
そう言って、真白は教室を出て行った。
佳織は真白がまた何かやらかしたのかと思い不安でしかない。
「……………!! おい! これ見ろよ!!」
そんな時、クラスの男子生徒が携帯を見て大声で叫んだ。そして、周りの男子達もその男子生徒の携帯を覗きこむと、ざわめき始めた。
「佳織! ちょっと大変!!」
「どうしたの?!」
「いいから、このネットニュース見て!!」
そしたら今度は近くの佳織の友人の女子生徒が佳織に携帯を見せてくる。どうやら何かのネットニュースらしい。
そして、そこに載っていた記事は————
「え!!」
————とんでもない内容だった。
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