第130話 打ち上げ…ついでに〇〇も!
「…えー…それでは皆んな! 球技大会お疲れ様! バスケと女子卓球シングルの優勝と女子卓球ダブルスの三位を祝して……乾杯!!」
「「「「「「「「乾杯〜!!」」」」」」」」
佳織の音頭で打ち上げが始まる。
球技大会が終わった放課後、真白達のクラスは学校の近くのレストランを貸し切って打ち上げをしている。
「いやー、真白…ありがとね。……しかも貸し切ってもらえるとは思わなかったけど」
「大丈夫…ただの伝手だから」
そう、ここのレストランは実は真白の伝手で貸し切ってもらったのだ。
このレストランは二階建てになっており、その一階部分を使わせてもらっているが、それでも広さは50坪でかなり広い。
しかも、このレストランは雑誌にも載るほどかなり有名で、そこそこ料理の値段が高い店である。それを平気で貸し切る事が出来る真白は何処か可笑しい。
「伝手って…ここの店…真白の知り合いでも居るの?」
「あぁ、この店のオーナーをやってるの、実は石井さんなんだよ。だから簡単に貸し切らさてもらえた」
「……へぇー………」
どうやらこの店は龍也がオーナーらしい。それなら納得と思う佳織だが、貸し切りにする龍也もどうかしてると思ってしまう。
「(ここ…夕方以降は予約制だったよね? 石井さん…何で貸し切りOKしたの? いくらなんでも真白にアマすぎでしょ!)」
最初、打ち上げは何処か安い焼肉屋とかにする予定だったのだが、二週間ほど前に真白が会場を予約すると言い出したので、佳織は真白に任せる事にした。それがまさか、龍也が経営する高級レストランだと誰が予想出来るであろう。クラスメイト達も、最初は驚き過ぎて声が出なかった。しかも、今回は全て真白のポケットマネーである。流石に遠慮する者が多かったが、既に手配や支払いなども全て済ませていると言われてしまい、全員真白の言葉にあまえる事にした。
真白としては、増えていく預金を少しでも減らしたいという理由で行なったのだが、変に気を遣わせてしまっている事に気づいていない。
そんな真白はホールの大きなソファーに深く座りながらジュースを飲んでいる。
「ねぇ真白、ここの料理って確かフレンチだよね。こんな大勢が一気に注文したら大変じゃない?」
「大丈夫。ビュッフェ形式だから。それに石井さんも、今後もしかしたら貸し切りを希望するお客がいるかもしれないからってことで、お試し練習って形で取引して許可したくれたの」
「へぇー……」
「あと、もう一つ理由があるんだけど…」
「??」
「やあ! 楽しくやってるかい」
真白と佳織が話していると、横から会話に入ってくる人物が一人きた。
「石井さん。今日は貸し切りにしてくれてありがとうございます」
「え!? 石井さん!」
「いやいや、これくらいの頼みならいつでもいいぜ! やあ、佳織ちゃん、久しぶり!」
なんと店の奥からオーナーの龍也本人が出て来た。突然の日本三大クランの一つの『生産組合』のトップの登場に、少し離れた所でクラスメイト達はざわめいている。
「……やあ、皆さん初めまして。自分はクラン『生産組合』のクランマスター改め、この店のオーナーの石井龍也です。本日は当店の料理を思う存分お楽しみください」
そんな状況で龍也はこの場の全員に向かって軽く挨拶する。まさかただの学校行事の打ち上げに有名人が出てきて全員困惑している。
「あれ? ねぇ白ちゃん…なんか皆んな反応が薄いんだけど?」
「石井さんが日本では凄く有名ですから、皆んな困惑しますよ」
「世界中でもの凄く有名な人に言われたくないなあ」
どっちもどっちである。
「ええー…白ちゃんのクラスの皆んな、突然白ちゃんがこのような高級店の店を貸し切りにして打ち上げするのに驚いただろう。————」
龍也の言葉に半数近くの生徒が頷く。
それもそのはず、この店の一番安いコース料理は一人前が三万円以上するのだ。
「————今回はウチの店が今後、貸し切りをすることを想定してのお試しでって形で取引してるから、遠慮するひつようはないから、思う存分楽しんでくれ」
龍也は生徒達が気楽に楽しめる様に言ったつもりだが、一般市民には難しい。
「それともう一つ、今回の料理は、————」
そして、ただでさえ困惑してる生徒達に追い討ちを掛かるように————
「————先日、探索者協会が発表したダンジョン食材の料理を作った! 今後店に出す予定だから味わってくれ!」
————爆弾(発言)をついでの様な感じで言った。
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