第129話 球技大会③
パン!
「10-8…一年一組マッチポイント!」
「「「「「うぉぉぉ〜〜〜!!!!」」」」」
現在女子卓球のダブルスの三位決定戦が行われている。
「月下さん! 頑張ってー!」
「あと1ポイントだよ〜!!」
「ファイトー!」
クラスメイトの声援が会場に響き渡る。
この試合は既に両チームともに2ゲーム取っている。その為この第5ゲームを取った方の勝ちである。
そして今、輝夜達がマッチポイントを取り、勝利に大手をかけた。
しかし相手は二年生だ。相手の二人は体は小柄だが、反射神経と動体視力が優れている。しかも双子らしい。コンビネーションはバッチリだろう。
「…………フッ」
ポン!
ポン! ポン! ポン! パンッ!! パコン! ポン! ポン! パッン! ポン! ポン! ポン! ————
お互い譲らないラリーが続く。相手も上級生としての意地があるのかもしれない。
それから十数秒程ラリーが続いたが動きがあった。
パンッ!
「あっ!」
相手のスマッシュを受け止めたパートナーがボールを上手く返せず高く上げてしまった。ボールは相手コートでワンバウンドし、相手は再びスマッシュの大勢だ。相手が狙ってるコースは輝夜から見て左側のサイドラインだ。そこは輝夜のパートナーがさっきの受けでバランスを崩しており輝夜は逆サイドにいる。
パンッ!
相手のスマッシュが放たれた。ボールは綺麗な直線でコートにバウンドし、エンドラインを抜けてそのまま床に向かって落ちて行くが、その瞬間、輝夜がダイビングするように手を伸ばし手首の力だけでボールを返した。
ボールは再び高く上がったが、相手コートに入るかどうかはすごく微妙な所である。
そして————
ポカーン!
「11-8! 勝者、一年一組!」
「「「「「ウォオオオーーーー!!」」」」」
————なんと、ボールは相手コートのネットギリギリの所、しかもサイドコートのエッジに当たり、運良くマッチポイントを取れた。
だが、もし相手のスマッシュのボールがエンドラインでなくサイドラインを抜けて行ったなら、輝夜のダイビングは間に合わずポイントを取られていただろう。まさに幸運の得点だ。
こうして、女子卓球ダブルスの三位は真白達のクラス一年一組になった。
因みに、男子卓球ダブルスは三位決定戦に敗れ四位である。
「いやー、アレは輝夜のファインプレーだったね!」
「うん。…私もアレが入るとは思わなかった」
「でも、これでうちのクラスは女子卓球が入賞したから、この流れで残りのバスケも優勝したいよね!」
「?? ねぇ……私は?」
「? 真白は別に大丈夫でしょ」
「まぁ、そうだけど……」
真白の心の中が少しモヤモヤした気持ちになったが、自分が信頼されてると言う事で気にしなかった。
「……でも佳織、バスケの決勝はあいつのクラスだよ」
「あー、星歌さんだね」
「うちのクラスは佳織が中心なら、あっちのクラスはあいつが中心だから気をつけて」
「前も星歌さんのクラスに負けたからなぁー」
「佳織…あいつさえ潰せばうちのクラスは勝てるんだよ! だから殺っちゃえ」
「真白……それ、意味が違うよ。…はぁー…どんだけ嫌ってるのよ」
真白は相変わらず星歌に対して酷い言い草だった。
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