第124話 授業にて
三学期が始まってから一週間がたった。
三年生は入試間近に迫っている為雰囲気がピリピリしている。
そんな中真白は通常通り授業を受けていた。今は選択科目のダンジョン学である。
「————このように、国内の探索者協会は自国のダンジョンの管理や探索者の依頼の仲介などを担うが、国際探索者協会は各国の探索者やダンジョンのトラブルや有用な情報などを各国が共有出来る様にしている。————」
ダンジョン学の教師が黒板に色々要点を書いて説明している。
真白達の学校のダンジョン学の教師は探索者を引退し、若者の教育の為に探索者協会から派遣されている。中には年間契約してこの学校のダンジョン学専門の教師になる元探索者も居るが、殆どは臨時教師である。
しかし、真白達の学校は探索者に理解のある学校なだけあって、ダンジョン学の教師は殆どが契約で教師をしている。しかも本来なら給金は探索者協会から出るのだが、学校からも少し出ているらしい。だからこの学校のダンジョン学の教師の授業の質は座学実技ともに全国トップクラスと言っても良いくらい高い。
そして現在、一年生は座学のみなので先生の話しを聞いている。今受けてる内容は国の探索者協会と国際探索者協会の仕組みについてだ。
「————そしてこの他にも、国際探索者協会は高ランクのダンジョンと探索者の管理もしている。高ランクのダンジョンについては、一昔前は各国の協会で管理をしていたのだが、…皆も知ってるだろうが……20年前、アメリカのA級指定の…フェアバンクスダンジョンのスタンピードにより、緊急時に他国の高ランク探索者の救援や仲介の手配を迅速に出来る様にA級以上のダンジョンの攻略の進捗や異変等は各国の協会は国際探索者協会に報告を義務付けられている」
真白は教師の話しを聞いてはいるが、それは以前桐島から聞いている為知っている。それ以前に真白は座学で習うことは全てSSSランクになると同時に個人的に調べた為あまり意味がない。むしろ更にこと細かい事や機密系の事まで知っている。SSSランクにはそれだけの権力があるのだ。
「…え〜……あと、高ランク探索者…主にSランク以上だが、……この者達は基本的指名依頼が多く…時には海外からの依頼もある為…国際探索者協会は高ランク探索者の依頼であった事は詳細な報告が義務化されている。…え〜…そして…その中でも最高位のSSSランク探索者は…え〜…————」
そして、高ランク探索者の話しになると、ダンジョン学の教師が真白の事をチラチラと見る回数が増える。
それに釣られて他の生徒も真白の事をチラ見している。
最初の二学期の時は色々と気になってあまり授業に集中出来なかった真白だが、今ではだいぶ慣れた。
「んんっ! ……あ〜、その中でもSSSランクは特に厳しく詳細を報告することを義務されている。……あ〜〜…大変失礼な事を言うが、SSSランク探索者はたった一人で核兵器以上の力を持っている為この辺は最も厳しい。……あ〜、この参考書は三人を四人に訂正してくれ。…で、現在SSSランクは世界に四人居るが、彼らの行動はそこそこ制限されているが、それ以上に人柄や世間での貢献度を国際探索者協会から信頼されている為、場合によっては協会の会長以上の発言力を有している」
ダンジョン学の教師が真白の顔色を窺いながら説明するが、事実なため真白は全く気にしていない。
今更だが、真白が探索者登録をする事になったのはこれが一番の理由だ。
当時、真白は一人でダンジョン探索をしていた為自覚していなかったが、たった一人で核兵器以上の力を持つ探索者をフリーにしておくなど常識的にあり得ない。それを解っていて真白の存在を隠し、注目されない様にしていた龍也に真白は感謝している。
その後は、教師は淡々と授業を進め授業を終えた。
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