第112話 打ち合わせ
佳織との模擬戦を終えた翌日、真白は『生産組合』のクランハウスに来ていた。
「で、白ちゃん…何の用だい?」
場所は龍也の執務室、お互いソファーに座り机を挟んで向かいあっている。龍也は平静を装っているが、また真白が何かをしでかしたのかと警戒している。
「そんな警戒しないでくださいよ。今日は以前話したビジネスと、私のロマンの研究の成果についての話しをしに来たんですから」
「ふぅ…じゃあ平気か。また自重せず何かとんでもないもん発明したのかと思ったぜ」
そう言われて、龍也の口調もいつも通りフランクになる。
「では、世間話しは後にするとして、本題からいきますね」
「おう」
「まずはビジネス…博物館についてです」
これは以前、真白が持ち帰ったS級ダンジョン深層レイドボス死体を解体し、余った骨の使い道だ。
「まず、これが確実に私が狩ってこれるモンスターの一覧です」
真白は幾つかのファイルを龍也に渡す。
「ふんふん。…流石白ちゃん。結構な数を狩って来れるんだね」
「はい。……でも、七割近くは獣系ですけど」
「みたいだな……」
獣系のモンスターはスキルが厄介なだけで、四足歩行系の動物や鳥系の動物の様に見ただけ大体の動きを予測出来る真白にとっては簡単なので、必然的に多くなる。
「昆虫系も狩ってこれますが、あんな大きいのを展示するのはアレですし、植物系は外傷が付きやすいので狩るのは今のところ無理ですね」
「まぁそうだな。…けど、中には昆虫系を観たい人もいるかも知れないぜ」
「うーん、なら最初は獣系から始めて、お客様の要望が多かったら新しく建物のエリアを拡げるのはどうです? …ほら、テーマパークみたいにリニューアルな感じで」
「確かにそれは良いな。そしたら定期的に展示物を変えるのも有りかもな。客足を少なくしない為に、来る度に違うモンスターの骨格標本があればマニアには受けるだろう」
真白と龍也は展示物について話し合い、取り敢えず決まったのは、初めは狩って来やすい獣系を中心に展示して、それ以外に爬虫類や両生類の骨格も展示する事にする方針で進める事になった。
「後は建物なんだが、博物館だけあってデカく建てなくちゃならんから、建設には早くて一年半くらいだと思うぜ」
「十分です。何か変更があったら教えてください」
こうして、博物館の展示物についての話はある程度纏まった。
「ふぅ〜〜……さて、白ちゃん…もう一つの話しを聞かせてもらおうか」
「はい」
真白はそう言って、鞄からある物を取り出す。
「まず、これを見てください」
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