第106話 とりあえず、報告
真白は新宿ダンジョンの攻略について話した。
「実は、テスト期間も終わって色々と気持ちをスッキリさせたかったんで、ただダンジョン攻略するのはつまらなかったんで、ダンジョン内をキャンプしながら攻略することにしたんですよ」
「「「「…………………………………」」」」
いきなり訳の分からないことを言われて言葉の出ない四人。
「突っ込みたいところだが、…まずは続けてくれ」
桐島は突っ込みたい気持ちを抑えて話しを進める。
「取り敢えず、金曜の放課後は、前回行った65階層から一気に70階層まで行って、転移陣付近でテント張ってその日は休みました。70階層は森林地帯が多い岩山みたいでしたよ」
「もうその時点で階層記録を更新してるのう」
「私達の苦労は一体……」
遊び感覚でS級ダンジョンの階層記録を更新する真白に桐島と翠は呆れる。
「あっ、ついでにマッピング等の情報もあるので後でお願いします」
「分かった。後で買い取る」
ついでに真白は、いつも通りマッピングとしていた様だ。普通はキャンプよりそっちが探索のメインだと思うが、そこは真白だ、いつもの事だ。
「それでですね、…久しぶりに本格的に探索したので、つい楽しくなってしまって……どうせなら行ける所まで行くことにしたんです」
「それで、キャンプしながらレイドボス含め攻略したと」
「……はい」
「…………………………………」
桐島は言葉が出なかった。遊び感覚でS級ダンジョンを攻略する真白にこれ以上何かを言うのは気力が無くなった。
「真白、今更だけど、無茶はしてないわよね」
「ましろちゃん、これ以上心配させないでちょうだい」
「いやー、ダンジョン内でキャンプか。…白ちゃん、後で詳しく聞かせ……グゥゥッ!」
翠と相良の心配をよそに、龍也は真白よりキャンプの方に興味を持って後で訊く約束をしようとして、隣の翠に脇腹をエルボーをくらい悶絶する。
「で、話しを戻すが、白岩さん。新宿ダンジョンは全93階層で間違いないかね」
「はい。間違いありません」
「うむ、そして今回、各階の階層ボス25体とレイドボス5体を討伐したと、概ねそんな感じかね」
「はい。一応詳細な戦闘は動画で撮影で記録してるので確認してください」
「分かった。後で確認させてもらう」
「白ちゃん、そういえばあれから動画投稿してないよね。それは投稿しないの?」
「……もう面倒です。まず、あれはアンデット系に限りです」
以前の動画配信をしたが、真白はあれ以来やる気を無くし、全く手をつけていない。話しにあった動画の収益関係もどうでもよくなっている。
「あーそうだ。後ですね。90階層のレイドボスと91〜93階層の階層ボスの戦闘はあまり当てにしないで下さい」
「? 何故かね?」
「あの子達を使ったんですよ。…私だけでも倒す事はできましたが、…………最悪、一戦で約半日から一日くらいの超長期戦になってたかもなので」
「「「「…………………………………」」」」
真白の言葉に四人は絶句した。真白の強さをよく知っているのは国内ではこの四人なのは間違いない。その真白がそれ程の長期戦を強いられるモンスターが90階層以降は居る事に寒気を感じた。
取り敢えず、今日の所はこのまま解散する事にしたのだった。
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