第101話  文化祭⑦

 その後、真白達は色々な所を周った。

 真白達は主に紗奈の行きたい所を周る形で文化祭を楽しんでいる。理由は、真白の興味の無さと美梨の適当さ、そして、佳織は一日目に大体観て周ったが為である。

 そんな感じで正午まで過ごしている。


「ちょっと並ぶの遅れたけど、意外と空いてて良かった」

「運が良かったわね〜。やっぱり毎年この時間は、二年生の屋台は忙しそうね〜」


 屋台で焼きそばを買った佳織と美梨は何気なく会話していた。


「お姉ちゃん、次アレ食べたい!」

「はいはい、離れない様にね、紗奈」

「うん!」


 歩き周ってお腹を空かしている紗奈が真白にねだっている。真白は珍しく、はしゃぎまわっている紗奈の面倒に四苦八苦している。

 それから、そこそこの量の食べ物を買った真白達は落ち着いて昼食を取れる休憩室に向かおうとしたが、そこで美梨がまさかの提案をしてきた。


「そうだ真白ちゃん。休憩は図書室でしましょ〜」

「え? でも、あそこは学生用なんじゃ……」

「そこは私に任せて〜」


 どうやら何か考えがあるらしい。取り敢えず真白は美梨の言う通り図書室に向かう。


 そして、真白達は図書室に着いた。


「失礼します。司書さんいらっしゃいますか?」

「はーい。どうぞー」

「こんにちは、またこちらで昼食をとります」

「いいですよ。しかし室内は汚さない様に」

「はい。後もう一つご相談が……」


 奥から司書さんの声がした為挨拶をした。そして、真白は美梨と紗奈と一緒に昼食をとっていいかを訊いた。


「いいですよ」

「え! あ、ありがとうございます……」


 なんと呆気なく許可がでた。


「あら〜、どうやら私が何も言わなくても良かったみたいね〜」

「?! あら、不破さん! 久しぶりね! 元気だった?!」

「は〜い! 元気でした〜!」


 見た感じ、美梨と司書さんはかなり仲が良いみたいだ。


「あの司書さん…ここって、アタシ達生徒だけじゃなくて、部外者や来賓の人も休憩してもいいんですか?」

「えぇ、大丈夫ですよ。ルールさえ守ってくれたら何も言いません」


 佳織の問いに司書さんは肯定する。


「あら、そうなんですか〜! てっきり私生徒用の休憩室かと思ってました〜」

「ここは一応休憩室となっているから生徒用ってわけではないわ。ただ、ここを知ってる人が殆どいないだけなのよ」


 そう、図書室ここは名目上は休憩室。けれど、中央棟の教員会議室の方が広くて目立つ為知られてないだけなのだ。


「取り敢えず、お昼にしましょ〜」


 美梨の掛け声で、席に座り昼食を食べる。

 そして、食べ終えたところで、美梨が真白に声をかける。


「真白ちゃん〜、この後はどうするの〜? まだ私達と周る〜?」

「……いいえ。今日はもうここにいます」

「そっか〜。じゃあ、紗奈ちゃんは私に任せて〜」

「お願いします」


 真白はこの後はずっと図書室にいるつもりだった為、美梨に紗奈のことをお願いするつもりだったが、真白の心を読んだのか、自分から話しを振り紗奈のことを引き受けた。


「それじゃ〜私達はここで失礼するわ〜。紗奈ちゃん、後は二人で周りましょう〜」

「うん!」


 美梨と紗奈は最後は司書さんに挨拶をして、図書室を出て行った。


「………ねぇ、真白」

「なに?」

「アタシ、美梨姉さんが来る事知らなかったんだけど。なんで言ってくれなかったの」

「確信が待てなかったからだよ。当日になるまで分からないって言ってたから、だから言わなかったの」

「そうなんだ」

「うん。…だから本当は紗奈は来る予定は無かったんだけど、美梨姉さんが大丈夫だったからこれたんだ。…それに、あいつ星歌の誘いを断るのにちょうど良かった」

「…………そうなんだ」


 その後、真白と佳織は残りの文化祭の時間を図書室で過ごした。

 因みに、放課後は後夜祭も行われるのだが、佳織は参加したが、真白は当然不参加だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る