第96話 文化祭②
「失礼します」
「あら、白岩さん。いらっしゃい。もう休憩なの?」
「いいえ。避難です」
「あー、なるほど。それならゆっくりしていって」
「文化祭期間お世話になります」
図書室にきた真白は、司書に挨拶をして席へと向かう。
席に座り、大きなカバンから沢山のラノベとマンガを取り出し、読み始めた。
真白は文化祭期間の今日と明日はこの様に、図書室でのんびり読書して過ごすつもりだ。
「…………………………………………………」
午前10:00
「…………………………………………………」
午前10:30
「…………………………………………………」
午前11:00
「…………………………………………………」
午前11:30
「…………………………………………………」
午後12:00
「……………ふぅー」
真白は読書を止め、休憩する。
「あ、もう昼時か。………ほんと誰も来ないね。ここ最高の穴場だ」
誰も来ず、邪魔される事なく静かに出来る図書室に真白は居心地が良いと感じて、今日明日は
「ん?」
真白の携帯にメッセージがきた。差出人は勿論佳織だ。
「あー、昼食持って来てくれるんだった」
どうやら、こちらに来るらしい。
数分後、図書室の扉が開かれた。
「失礼します。…あ、真白。お待たせ」
「そんな待ってないよ。私の為にありがとう」
「いいよ。アタシも休憩したかったし。…しかし、本当に誰も居ないね。流石美梨姉さん」
「本人は生徒会の仕事をサボる為に使ってたみたいだよ」
「……………その話しは聞きたく無かった」
佳織の美梨に対する尊敬の声が若干失望した声になった。けれど、弟の真人と星歌曰く、学年問わず生徒と教師の信頼もあり、生徒会業務も美梨は一人で三人分は余裕でこなしていたらしい。
聞いた話だが、真人も当時、生徒会庶務をしていたらしく、生徒会の三年生が引退する時、次期生徒会長は美梨を推す声が満場一致だったが、美梨は全くその気が無くて、むしろ受験に集中したいと言って生徒会を辞めるつもりだったらしい。だが、当時は美梨の事務能力やカリスマ性もあり、流石に辞められたら困ると思った生徒役員達が土下座して残ってくれと頼んだらしい。それで、条件として副会長だったら良いとの事で残ったそうだ。
それを聞いた真白と佳織は驚き過ぎて声が出なかった。それでも受験勉強と両立させてT大の文二を余裕で合格したから凄いと思う。因みに本人曰く、文一も行こうと思えば行けたらしい。
「とりあえず、はいこれ。お茶と食べ物」
「ありがとう。いくらかかった?」
「えーと……750円」
「ん。……はい。釣りは要らない」
「………真白。……アタシの見間違いかな…これ、一万円札だよ?」
「細かいのが無い。それに、私今無駄にお金持ってるの。だから余ったお釣りで経済回して」
「え、…あ、…えーと……あ、ありがとう?」
いきなり大金を渡されて困惑している佳織。しかし、真白は建前上は言った通りで、本音はただ言ってみたかっただけである。
「いただきます」
佳織の困惑をよそに、真白は食事を始めた。
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