第81話 堅牢要塞瘴壁騎士
「さぁ、守って。…邪魂シリーズ、No.1! 解放!!」
水晶から瘴気が溢れて出てくる。そして瘴気が形を成していく。
そして姿を現すと、そこには瘴気を纏った黒色の重装備の鎧を着た重騎士が居た。その手には、鎧の色が霞む程の闇よりも暗い漆黒色で、所々に真紅のラインが有り、纏っている瘴気も尋常じゃない大楯があった。
「
真白が最初に造った『邪魂シリーズ』、瘴壁騎士(略:堅牢要塞瘴壁騎士)は自身より一回り大きい大楯を構え見るからに強者の威厳を持ち堂々な佇まいをしている。
しかし、現在この様子は生配信されていて、この配信を見ている一部、主に真白の身内や親しい者達は驚いただろう。
驚いた理由は瘴壁騎士の強そうな雰囲気にでわ無い。驚いたのはその容姿にだ。
その容姿はなんと———
———真白の兄、『賢也』と全く同じだからだ。
「
瘴壁騎士は大楯を構える。しかし、動く様子がない。アンデットの軍団がどんどん目の前まで押し寄せて来ているのに、瘴壁騎士は前方に大楯を構えるだけ。
だが、アンデットの軍団が瘴壁騎士から100m圏内に入った瞬間動きがあった。
『………ンッ!』
———ズドズド!ズドズ!ドズドズド!
———グチャ!ベチャ!グチャ!ベチャ!
———ズドズド!ズドズ!ドズドズド!
———グチャ!ベチャ!グチャ!ベチャ!
———ズドズド!ズドズ!ドズドズド!
———グチャ!ベチャ!グチャ!ベチャ!
———ズドズド!ズドズ!ドズドズド!
———グチャ!ベチャ!グチャ!ベチャ!
———ズドズド!ズドズ!ドズドズド!
———グチャ!ベチャ!グチャ!ベチャ!
突如、前方に居たアンデット軍団が、目に見えない大きな何かに轢き殺されて、跡形もなく消滅した。
ゾンビやスケルトンなどの実態のあるアンデットは身体を粉々にされ、レイスの様な実態の無いアンデットは大きな何かに衝突して潰される様に。
そして押し潰されたアンデット達は瘴気となり、瘴壁騎士に吸収される。
『……………………………………………』
瘴壁騎士は再び前方に大楯を構えて、その場に佇む。それは、獲物が自分の縄張りに入るのを待っているかの様だ。
このスキルは、瘴壁騎士の特殊スキル【振瘴壁】だ。これは読んで字の如く、瘴気で作った障壁の壁を外面だけを超振動させるスキルだ。
今瘴壁騎士がやったのは、超振動させてる瘴気の壁を見えなくさせ、避けられないくらい大きくさせて前に飛ばしただけだ。
瘴気は『邪魂シリーズ』にとって魔力のような物、だから瘴気で形作る物は見えなくしたりもできるし、レイスの様な実態の無いモンスターも倒せる。
因みに、以前の魔刀侍の【無幻刀】は、瘴気で形作っておらず、ただのスキルの為半透明であり見えなくする事はできず、実態の無い物は斬り殺せ無い。
『グゥウウウウウウ……グァアアアア!!』
レイドボスがまた【召喚術】を使う。なんと今度は数えるのが大変な程の数の魔法陣の量を出した。
召喚したアンデットは約2,000体。さっきの瘴壁騎士の攻撃で生き残っているのを含めるとその数は約2,200体。どうやら、圧倒的な物量の軍団で倒すつもりらしい。
確かに、どんなに圧倒的な力でも個人では限界がある。普通なら数の暴力には勝てないと誰もが思う。
だが、それは普通での話。人外や非常識な力には当てはまらない。
「潰しちゃえ」
『……………』
真白の言葉で瘴壁騎士が動く。手に持つ大楯を少し地面から上げて、すぐにまた地面に軽く落とす。
ストン——
———ズッバァアアアアーーーーン!!
瘴壁騎士が大楯を地面に軽く落とすと同時に目の前に居たアンデット軍団の約3割が大きな瓦礫に押し潰されたように死んだ。
これを生配信で観ている視聴者達は何が起きたのか詳しくは分からないが、ただ、瘴壁騎士が何かをした事だけは分かる。
実はこれも、今使った特殊スキル【振瘴壁】だ。この特殊スキルは色々と応用ができ、ありとあらゆる形の障壁で相手を攻撃したり、自身を守ることもできる。
今瘴壁騎士がやったのは、さっきの障壁を前方に飛ばすのではなく、今度は上から潰した攻撃である。
しかし、このスキルの唯一の弱点は、今のままでは射程範囲が半径200m圏内なのである。だからその範囲に居ない相手は倒せない為、倒すには近づくしか無い。しかし残念な事に、瘴壁騎士は超重装備の重騎士な為に動きが凄く遅い。なんと毎秒60cm。まだ亀の方がまともかもしれない。
しかし、防御力に関しては、特殊な攻撃でない限り『邪魂シリーズ』最強だ。
レイドボスはそれを理解したのか、アンデット軍団の進行をやめさせ、今度は魔法攻撃や弓矢で遠距離攻撃をしてくる。
真白は瘴壁騎士の側まで近づき命令する。
「全方位を守備」
真白の命令で、瘴壁騎士は自分と真白の周りをドーム型の障壁で囲った。
見えない障壁に守られているが、遠距離から弓矢や魔法が飛んでくるのは結構怖い。例え大丈夫だとしてもだ。
「………全部返して」
『………………………………』
真白に命じられ、瘴壁騎士はドーム型の障壁を5倍くらい大きくした。
『……………ッ!』
瘴壁騎士がまた気合いを入れる様に盾を構えると。今度は【振瘴壁】を覆うように、薄くやや黒い瘴気の障壁の膜を張った。
遠距離から弓矢と魔法が飛んでくるが、今度の障壁はただ防ぐだけでは無い。
カッキィ!カッキィ!カッキィ!カッキィ!
バッシュ!バッシュ!バッシュ!バッシュ!
なんと今度はアンデット達が放った矢と魔法が障壁に触れると同時に反射して逆方向に返っていった。そして、その矢と魔法は放ったアンデット達に当たる。
これは瘴壁騎士のもう一つの特殊スキル【反射瘴壁】だ。まあ、ただ相手の攻撃を反射して逸らしたり、相手の攻撃を逆に返して攻撃したりする攻防一体の障壁だ。
分かり易く言うと、某アニメの最強の超能力者さんの能力みたいな感じだ。
しかしこのスキルも効果範囲が半径200m圏内だ。反射の勢いで攻撃を返して効果範囲外まで攻撃(カウンター)をできるが、少しマシになっただけで、これでは倒す事はできない。ただのいたちごっこが続くだけだ。
『グゥウウウ……グァアアアア!!』
このままじゃ埒が開かないと思ったのか、レイドボスが【召喚術】で更にアンデットを増やす。範囲圏内など無視して兎に角圧倒的な数で勝負するらしい。その数なんと約10,000体。それに加え自身も魔法で攻撃をする。
「(こっちも仕上げに出るか)……………瘴壁騎士………………籠るよ」
勝負は終盤、ここからが瘴壁騎士の本当の全力だ。
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邪魂シリーズ
No.1 : 堅牢要塞瘴壁騎士 通称:瘴壁騎士
No.2 : ?????
No.3 : 瘴雲滅雨魔喰い烏 通称:魔喰い烏
No.4 : ?????
No.5 : ?????
No.6 : 黒炎瘴獄魔刀侍 通称:魔刀侍
No.7 : ?????
No.8 : ?????
No.9 : ?????
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