第80話 アンデット軍団の脅威
「『ファイアウェーブ』」
目の前にいるアンデットの大軍に向けて魔法を放つ。真白の高火力魔法で1/3程まで数を減らした。
『グゥウウウ〜ウウウ〜グァ!!』
この二回目の召喚で更に数が増えアンデットの数は約1,000体くらいまで増えた。
「いくらなんでも増えすぎでしょ!」
真白は不満を言うが、相手は人の言葉が通じないモンスターだ、待ってくれない。約1,000体のアンデットが真白へと襲いかかる。
「キモい……どっかのゾンビ映画みたい。…『ファイアウェーブ』!!」
真白は火炎魔法の炎の波でアンデットの大軍を焼き払うが、ゾンビやグールは倒せるがスケルトンとレイスが厄介だ。
だが、それよりも厄介な事が起きた。
「……うわー…ここで連携してくるかあー」
どうやら
大楯と槍を持つスケルトンが前に、そのすぐ後ろに剣と盾を持つスケルトンと見かけの割に機動力と頑丈さがあるグール、後方では弓や杖を持つスケルトンに上空約10mには魔法に特化したレイスがいる。ゾンビはただの肉壁要員みたいだ。
「………まんま軍隊じゃん」
そんなこと言ってる間に手前のスケルトン達が構える。大楯を持つスケルトン達が密集陣形をとり、大楯の隙間から槍の先を向けて真白に迫る。
「ファランクスだあー」
ファランクス、古代ギリシャ軍の重装歩兵が用いたとされる密集陣形だ。古代ギリシャ軍の戦場では、集団が一丸となり攻撃をするファランクスは開戦において威力を発揮したと言われている。
しかし、弱点もある。それは重装備の兵が密集している為速度が遅いのと、盾で守られていない一番右側、そして側面と背面だ。しかし、不幸なことに、このレイドボスエリアはやや山がちな地形になっている為弱点を突くことが難しい。当時のギリシャも地形が山がちだった為この陣形が威力を発揮したとされている。
「まぁ、どうとでもなるかあ〜」
真白が打開策を思いつくと、相手の後方から魔法と矢が飛んできた。
「『アンチグラビティシールド』」
真白は
「やっぱり魔法って便利だねー。……だから弱点の側面や背面を突かなくてもこうすれば良いんだよね。………『エアブロウ』(×5)!」
目に見えない巨大な空気の塊が手前のスケルトンだけで無くすぐ後ろに居たソルジャーやグールにゾンビまでも大きく吹き飛ばした。まさに力技である。
『『『『ァアアアアー』』』』
上空のレイス達が今度は魔法を放つが、真白はそれをまた、斥力場の壁で防ぐ。
「『ライトニードル』(×30)」
【光魔法】の数少ない攻撃魔法『ライトニードル』。名称の通り光の針を一度に10〜20程放つ魔法だ。威力はそこまで高いとは言えない。同じ【光魔法】でも先に覚える『ライトランス』の方が威力は高い。だが、攻撃範囲と数に関して言えば『ライトニードル』に分があるだろう。
しかし、そこは真白クオリティ。持ち前の魔力で『ライトニードル』の威力を大幅に上げ、一度に放つ数を倍近くの30〜40程を『多重詠唱』で30もの数を放った。これにより、上空のレイスは全滅した。
『グゥウウウ……グァアアアアーー‼︎』
怒った
だが、真白もそう易々と召喚させたりはしない。
「そーれぇーー!」
ボスの足下の魔法陣に向かって何かを投げつけた。
真白が投げつけた物体が魔法陣の上の地面に落ちると同時に———
ズドッーーーーーーーーーンンンンン!!
『グァアアアアーーーー⁉︎⁉︎』
———大・爆・破!
投げつけたのは超高火力爆弾だ。
「予想通りだね。召喚される前に魔法陣に大きな衝撃を与えればアンデットは召喚出来ないみたいだねー。……これなら爆弾じゃなくて魔法でも良さそうかな」
真白は自分なりの【召喚術】の攻略法を見つけた。【召喚術】は魔法陣を魔法や爆弾で破壊して、相手の魔法攻撃を躱しながら接近戦にもちこむ。
たった数分の攻防で真白はここまでの攻略を考えて実行する。
「【縮地】————」
真白は一気に距離を詰める。相手も魔法で攻撃してくるが、真白からしたらただ直球に魔法を撃ってくる魔法など目を瞑りながら距離を詰められる。
そして、懐まで距離を詰めた真白は、超重量のハンマーを先程と同じく遠心力を付けて、今度は武器に付与しているスキルも使いおもいっきり叩き込む。
「———【インパクト】!」
【インパクト】、打撃系のスキルや技と使うと超高威力になるスキルだ。因みにだが、個人差はあれど、平均的に2〜3倍の威力になる。
先程と違いスキルを付けた超重量のハンマーの攻撃だ。今度は10m以上後方に吹っ飛んでいった。レイドボスも今の一撃はかなりダメージを受けただろう。
普通なら追撃をするところだが、真白の直感が危険と判断した。きっと何かあると真白の勘が真白自身に訴えてる。だから真白は追撃をやめた。
『グゥウウウーー! グァアアアアーーーーー!』
レイドボスは【瘴気放出】で更に大量に瘴気をエリア全体に発生させた。だが、真白には意味が無いと相手もわかっているだろう。真白は警戒心を高める。
『グァ! グァ!』
「…ん、【呪術】の重ね掛け」
レイドボスは真白に【呪術】の重ね掛けをした。だが、それで終わりでは無い。
『グゥグァ!』
「! よっ! っと! たあー!」
そこに瘴気で視界が悪くなったところに更に追撃で、【闇魔法】のダークランスを撃ち込んできた。
『グゥグァアアアア!』
更に魔法陣が浮かび上がった。
瘴気で視界が悪くなったとはいえ、真白には特殊スキル【真理の天眼】がある。例え見えなくても、魔力の流れでお見通しだ。
「チッ! 『ライトボー——!」
魔法陣を破壊する為【光魔法】の『ライトボール』を撃とうとした真白だが、レイドボスの【闇魔法】の『シャドーダイブ』によって奇襲を受ける。
回避する事はできたが、【召喚術】の発動を許してしまった。そのおかげで、アンデットの数が500体くらい増えてしまった。
真白も反撃しようとするが、レイドボスは魔法を撃ってきてなかなか攻める機会を与えてくれない。
おまけにレイドボスは少しずつだが【召喚術】でアンデットを召喚してアンデットの数を増やしている。このままでは数の暴力で真白が不利になってしまう。
「あーー…仕方ない。プラン変更。作戦2を飛ばして作戦3にしよう」
どうやら真白は『邪魂シリーズ』を使う作戦にプランを変更するようだ。
「そうと決まれば。……【縮地】!」
真白は【縮地】を使って大扉の手前まで距離をとる。
そして、ベルトポーチから漆黒の水晶を取り出す。その水晶には《1》の数字が書かれている。つまり、真白が造った最初の『邪魂シリーズ』だ。
「さぁ、守って。…邪魂シリーズ、No.1! 解放!!」
真白は自分にとって、最も思い入れの深い『邪魂シリーズ』を解放する。
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