第77話 臭い(泣)‼︎
青木ヶ原ダンジョン深層61階層。
真白は昨日と同じ様に調査をしながら、攻略していたが、なんと予想外の事が起きた。
「う〜〜〜〜、臭い…めっちゃ臭い。…いつまで続くの…これ………オェ…」
なんと、61階層が超が付くほどの腐臭だらけの階層だった。
ダンジョンには腐臭が漂う様な階層は幾つもある為珍しくは無い。大抵は消臭ポーションや【腐臭緩和】が付与されたアイテムでなんとかなる。
けれど、アンデット系のダンジョンだからなのか、深層からはアイテムではどうしようもない程の臭さが漂っていた。
「う〜〜……3時間経ってるのに、まだ2/3しか攻略してない。……ささっと終わらせよう」
あまりにも臭過ぎてなかなか攻略が進まない真白はとにかく午前中は61階層の攻略だけに集中する。消臭ポーションもアイテムが殆ど効かず、『浄化』などの魔法を使っても一瞬でまた元に戻る様な階層を早く抜け出したいだろう。
色々と異端な真白でも、やっぱり臭い所など嫌なのは常人と一緒だ。世間からは人間離れしてるなどと色々言われてるが、こういう所はまだ普通の人間なのである。
それから約1時間後、階層ボスエリアまで辿り着いた真白は、61階層ボス、『デッドポイズンヘドログール』を遠目で【鑑定】だけして、超高火力の炎で燃やして討伐し、62階層の転移陣から地上へと戻った。
因みに、62階層は61階層程臭くなかった。61階層がどうやら例外だった可能性はあるが、しかし、今後は同じ様な階層が有る可能性が高い為、真白は帰ったら早急に対策を練る事に決めた。
————————
『それは……災難だったわね』
『この後レイドボスと戦うんでしょ、ましろちゃん。大丈夫?』
地上に戻って来た真白は、昼休憩とレイドボス戦の準備の前にいつものメンバーと打ち合わせをする為リモート通話をした。
「大丈夫てもんじゃないですよ。私が作った消臭ポーションや【腐臭緩和】を付与したアイテムが効かないくらい酷かったですよ。……あの悪臭は要対策案件です」
だが、打ち合わせよりも61階層についての報告を先にしている。
『白ちゃんが一つの階層を攻略するのに4時間以上かかったとか……どんだけ臭いんだよ』
『白岩さん、日を改めて対策をしてから攻略しても良かったのだぞ』
「攻略中にそう思ったんですが、【探知】で階層の把握をして、後先考えずそのまま調査してしまって、中途半端な状態で終わらせるのが嫌だったのでそのまま進みました」
『………そうか、ありがとう』
無理して61階層の調査してくれた真白に、桐島は感謝の言葉をかける。
『そんなことよりましろちゃん、本当に大丈夫なの? 前回はある程度情報があったモンスターだったけど、今回のは全く未知のモンスターよ』
「はい。だからしっかりと準備をしてから挑みます。……ていうより、レイドボスの討伐はできたらいいな程度です。情報さえ分かればさっさと帰ります」
『え? 真白、今朝の話だと、討伐するんじゃないの?』
「はい。今回は討伐します。以降は気分で決めます」
『……そう……レイドボスの討伐を気分次第でやるとか……頭の中がイカれてなきゃ言えないわよ』
レイドボスは数少ない情報を基に、対策や装備、アイテムの準備をし、大人数で挑むのが常識だ。それをただの気分で討伐する真白はやはりかなり考えがズレている。
「……と、私はそろそろ準備をします。一応撮影前にまた電話します」
『ああ、わかった』
『真白、しっかりと準備しなさい』
『潜る前にしっかり休憩するのよ』
『白ちゃん、取り敢えず告知は今回は任せな』
こうして打ち合わせを終えた真白は、レイドボス戦の為に準備に取り掛かる。
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