第76話 決戦の朝
日曜日の朝、今日が青木ヶ原ダンジョン攻略の最終日である。
昨日、ホテルの部屋に着いてすぐに翠と桐島に連絡をし、用件を伝えた。
一つ目が、朝と夜のダンジョン内の魔力の濃度の変化だ。この件は桐島が協会お抱えの探索者に調査してもらう事になった。ただ、アンデット系のダンジョンは真白が主にやってほしいという事になった。真白としても、攻略のついでにそれぐらいならなんとかなると思い了承した。
二つ目が、60階層のレイドボスに挑戦することとだ。
この件については昨夜———
『まさかとは思ってたけど……本気でやる気なのね』
「はい、勿論です」
『……そう…なら、好きにしなさい』
「あれ? 今回はいつもみたいに止めないんですか?」
『真白の実力はスタンピード以降、次元が違うと思い知らされたわ。私がとやかく言うことはできないわ。……それに、止めたとしてもやるんでしょ………』
「はい」
『………何度も言うけど、やばそうならすぐに逃げなさい。もしくは例の『邪魂シリーズ』を使って倒しなさい。…とにかく、調査なんかよりも、絶対生きて帰ってきて……』
「はい。…ありがとうございます」
————と、こんな会話を翠とした。
自分にはどうすることもできないと悟った翠だが、佳織を除いて、一番真白との交流が長い探索者だけど、心配なのは変わらない。だからせめて『生きて帰ってきて』としか言えない。その気持ちを悟った真白も翠の気持ちを素直受け止めて感謝した。
レイドボスに挑む事も許可を得た。ただし、約束通りカメラを『LIVEモード』にして生配信することは忘れるなと。改めて釘を刺された。
レイドボス戦をする時間は14時頃とした。深層を軽く調査して、昼休憩を長めに取り、最後に挑む流れだ。
それに、幸い今日は日曜日、殆どの学生や一部の社会人は休みだ。視聴者の同接数をかなり稼ぐ事ができ、もし収益化した時、もしもの為の軍資金になると、真白は内心で少し腹黒い事を考えていた。
配信の告知は協会と翠、龍也達が今回はやってくれる。今までSNSなど対して使った事ない真白はコメントの書き込みや投稿なんかした事が無い為仕方がない事だと思うが、次回からは自分でやるようにと言われた。
「さて、時間も惜しいし、チェックアウトしてダンジョンに行こう。……けど、ここのVIPサービス良かったな〜。魔石支払いができるなら、毎日ここから学校に通学しても良いかもしれな………いや、絶対お母さんに怒られるね…やめとこう(震え」
世界最強クラスのSSSランクの真白でも、実の母親(裏ボス)には勝てないのである。
こうして、ホテルをチェックアウトした真白はそのままダンジョンに向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます