第75話  気になること

 現在、青木ヶ原ダンジョン60階層。

 56階層を攻略し終えた真白は、その後、57〜59階層を約一時間ぐらいで攻略し、今いる60階層では、階層ボスの目前まで来ていた。


「…えーと、18:28かあー。思ったより時間掛かったね」


 真白の予定だと、18時までには、60階層の階層ボスを倒す予定だった。しかし、いくら真白とはいえ、慣れないダンジョン調査をしながらだと時間がかかる。


「流石に今日はレイドボスと戦うのは無理そうだね。もしやるにしても明日かなあ」


 真白はできる事なら、レイドボスにも挑むつもりだったが、流石に夜時間帯で地上では日が沈む頃から、討伐に時間がかかるであろうレイドボスを相手にするのは体力と集中力が持たない。

 なので、挑むにしても万全の状態にしておきたい。


「それじゃ、さっさと階層ボスをりますか」


 15分後、真白は60階層の階層ボスを討伐した事により、下層エリアを全て攻略した事になった。

 これにより、青木ヶ原ダンジョンの公式最後到達階層は61階層になった。


 ————————


「……………………」


 階層ボスを討伐した真白は、次の61階層へと向かい、転移陣から地上に戻らなかった。

 時刻は18:50、真白は現在、再び50階層に来ている。

 50階層に来た真白は今、全力で集中して周りの様子を。真白にはもう一つどうしても気になって、があった。


「…………………………………………………………やっぱり……エリア全体の雰囲気が変わってる……」


 この時、真白は自分の中で予想していた考えが、当たっていたと確信した。


「昨日、大体18:00頃から感じてた違和感は、階層の魔力や瘴気の濃度が上がってたんだね」


 実は昨日、真白は攻略中にダンジョン内の雰囲気が変わった感じの違和感があった。

 けれど、昨日は調査に専念していたのと、配信事故の事で失念していた。


「……でも、ダンジョン内の魔力の濃度が夜になると上がるなんて聞いたことないよね。……もしかして、アンデット系ダンジョン特有の現象?」


 ダンジョン内の魔力の濃度は、上がれば上がる程モンスターは強くなっていく。それはつまり、青木ヶ原ダンジョンは夜になるとモンスターが強くなるということだ。


「この件は、翠さんと会長さんに一旦調査してもらおう。取り敢えず、50階層だけざっくり調査してみよう」


 真白は、今朝来た時の50階層と現時刻の50階層の違いを確認する為調査を始めた。

 そして結果は、魔力と瘴気は共に通常の1.2倍濃くなっていた。その分モンスターも少し強くなっていて、真白には効かないが、瘴気が濃くなると、神官系の探索者の魔力消費も早くなってしまう。因みに、後日真白は他の階層でも同じ現象が起きているかも調べ、階層ごとに変化の幅があるかを調べるつもりだ。

 少しして、大体の調査を終えた真白は、明日に備えてホテルに戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る