第73話 緊急会議
「そう言う事で、55階層まで調査して、只今お昼休憩中です。……モグモグ…」
『真白…あなた、攻略速度早過ぎない。調査しながら潜ってるのよね。…何時頃から潜ってるのよ?』
「…ゴックン……朝の7:00頃からです」
『白岩さん…本当は無理してないかい?』
『白ちゃんならこれぐらい普通ですよ、桐島さん』
『桐島さん……ましろちゃんに関しては、何があっても諦めて受け入れるのが良いですよ。気持ちは分かりますが早く慣れてください。…でないと精神的にキツイですよ』
真白は56階層の転移陣から地上へ戻り、昼食(カロリーメイト)をとりながら、緊急で話があるといつものメンバーに連絡をした。今までは真白と龍也に翠、相良の四人だったが、ここ最近は桐島も加わって五人となった。
そんな日本の探索者界のトップ達がリモートで連絡している。
「……それよりも…なんであなたが居るんですか?」
『『なんでと言われても、私は偶然日本の協会で、ミスターキリシマと話してただけよ、マシロ』』
しかもその五人の中に、偶然にもルーシーが居た。SSSランクになってからの真白は、最近やたらとこの面子と話す。
「まあ、居るなら話しを聞いてください。意見は多い方がいいので」
真白はこの際、ルーシーも巻き込もうとする。
『それで真白、緊急の話して何かしら?』
翠が真白に話しの内容を問う。
「はい。実はですね……———」
真白は早速、レイドボスエリアの調査をどうしたらいいかを訊いた。
通常マップとモンスターの名称やスキル等は殆ど終えているが、レイドボスに関しては何も調査していないと。
本当なら、姿や【鑑定】でスキル等を確認できたら調査するのだが、レイドボスの特殊エリアでは何があるか分からない。入ってすぐ戦闘て事もある。
だが、真白は『亡者の邪魂』の為に階層ボスの戦闘を録画して、編集し動画にアップすることになっている。
しかし、階層ボスより強くて厄介なレイドボスの調査となると、高確率で戦闘になる。だから戦闘を録画するけれど、レイドボスは最初に討伐した者には旨みはあるが、それ以降の者はちょっと強くて普通より質の良いドロップだけだ。
青木ヶ原ダンジョンはS級ダンジョンだ。しかも以前真白はS級ダンジョンの深層レイドボスを単独討伐している。下層のレイドボスを単独で倒せる可能性があり、もしも倒したら、一部の探索者から何か言われるかもしれない。
『確かに、白ちゃんだけが利益を得るのに嫉妬する輩が出てくるだろうな』
『う〜ん、確かにちょっと悩むわね……』
『けれど、調査依頼はできればレイドボスもしてほしい。しかし、戦闘となるとなあ……白岩さんは下手したら
龍也、相良、桐島は慎重派だ。
『『何故です? 戦えばいいじゃない』』
『レイドボスは誰が倒そうが早い者勝ちよ、文句を言われる筋合いはないわ』
ルーシーと翠は戦闘派だ。
『けど、もし白ちゃんがあまりにもやり過ぎるとそう言う輩は出てくるぜ』
『なら自分達が強くなればいいだけの話しじゃない』
「あの〜、…レイドボスに関しては、私が何もしなければ良いのでは?」
『けどましろちゃん、あなたは戦闘になると命の危険がない限り、自重せずにギリギリまで戦闘するわよね』
「…………………………」
『『……日本人て、そこら辺結構面倒くさいのね』』
慎重派の龍也と相良、戦闘派の翠とルーシーに、中立の真白はどうすれば良いのか分からず、全然話しが進まない。
『…う〜ん……なら、白岩さんにはちょっと厳しいと思うが、こんな案どうだ。———』
そんな中、桐島が何か思いついたらしい。
『白岩さん、この間のレイドボスの様に生配信は本当にできないのかね?』
「会長さん…私、人に見られてるのを意識するから生配信をしたく無いのですが」
『でも、やろうと思えばできるであろう?』
「……………まぁ、はい……」
真白は桐島の質問に肯定した。
『もし、白岩さんがレイドボス戦だけを生配信してくれるのなら、日本探索者協会は後ろ盾になろう。そしたら、白岩さんはやりたい時に戦えるし、世間の娯楽にもなり、恐らく高評価を得るだろう。協会ではレイドボスの攻略は早い者勝ちと探索者達に通達する。これなら批判する声も多少は少なくなるだろう』
つまり、桐島は真白にレイドボスだけを生配信してくれたら、もし倒したとしても協会側は他の探索者も含め、早い者勝ちな為、真白に文句を言う輩からが出てきても、庇う立場になるよ、とのことらしい。
そして、真白がレイドボスの配信をしたら娯楽の他に情報も得られる事で批判の声も少なくなるという考えだ。
『どうかね? 悪く無い案だと思うのだが』
「う〜ん……なんとも言えませんが、悪くは無いと思いますが……今のところ他に案が無いですし……」
『とういうより真白、あなた…本当は面倒で配信に映るのが恥ずかしいだけでしょ。カメラが壊れるはただの建前で、気をつける事くらいできるでしょ』
『コクコク』(龍也と相良)
「…………………………………」
付き合いの長い三人は分かる。真白がただ面倒なのと恥ずかしがっているのを。つまり、いつもの我儘だ。
『『とにかく、暫くはそれで様子見したらいいんじゃないかしら? 本音を言うと、私はマシロの配信楽しみよ!』』
「はぁ〜、……分かりました。暫くそれで活動します。……公式アカウントとにも書いときます」
『こちらも協会のホームページ等で、レイドボス討伐は早い者勝ちと公表しとく』
こうして、レイドボスに関する緊急会議は終わった。
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