第69話 VSシャーマンリッチ
バン! バン!
真白の基本戦術、先手必勝での通常銃と魔力銃の攻撃がシャーマンリッチに放たれた。
『ガゥ、ガァ!』
「やっぱ【物理耐性】があるから通常銃は大して効いてないね……魔力銃は結構効いたね。物理攻撃より魔法攻撃メインでの戦闘だね」
真白は通常銃(物理攻撃)と魔力銃(魔法攻撃)を撃った後のリッチの反応から、魔法攻撃が弱点と判断した。
本当なら、真白はこのまま特大の魔法攻撃を放って倒すのだが、———
「情報収集しなきゃだから、直ぐ倒しちゃダメだよね。それに、あのスキル……【呪術】が気になるなぁ」
———情報収集の依頼ため、シャーマンリッチを観察しながら戦わなければならない。
「取り敢えず、魔法銃でヒットアンドアウェイ戦法で様子見しよう」
真白は自分から攻めることはせず、普段あまりしない、相手に先手を譲る戦いをする。
バン! バン!
『ガァ! ガァッ! ……グゥ〜ガァァ〜!』
攻撃をくらったシャーマンリッチが、ボスエリア全体的に僅かながら瘴気を放出する。シャーマンリッチのスキル【瘴気放出】のようだ。
「なるほど、【瘴気放出】はボスエリア全体に瘴気を放出して相手をよわらすのか」
今更だが、瘴気とは簡単に言うと病原菌などが含まれている悪い空気の事である。これは一部の状態異常を含めている。それは主に毒(劇毒、猛毒)、病気、老化、混乱、疲労、腐食、発狂が含まれる。ただし、モンスターによっては石化なども含まれる。その為、回復役の探索者や状態異常耐性のポーション、予備の武器などを準備して挑まないといけないほど大変なのだ。
だが、瘴気はアンデット系がいるダンジョンにしか発生せず、しかもアンデットは魔石以外は大したドロップ品がない為、進んで探索する探索者は殆ど居ない。
態々危険で準備が大変で、魔石以外何も旨みが無い所に足を運ぶ者はいないだろ。
だが、真白にとっては———
「まぁ、私は瘴気があっても、まったく問題無いけどね」
———瘴気など殆ど意味がないらしい。
『ガァ! ガァッ、ガァァァ〜!』
それから、シャーマンリッチは【闇魔法】で攻撃を続ける。しかし、下層のモンスターだからなのか、【闇魔法】の下位魔法や中位魔法しか攻撃してこない。『シャドーダイブ』は【闇魔法】の上位魔法のな為、使え無いのだろう。
そんなシャーマンリッチの攻撃を真白は全て最小限の動きで躱して魔法銃で攻撃する。
『グゥゥゥ……ガァ!』
「………………………………ん?」
真白はシャーマンリッチが手に持っている錫杖が自分に向けられたと同時に、違和感を感じた。
(……状態異常? いや、別に毒や石化、まして倦怠感などまったく無い。ただ体が少し重くなった? …もしかして、これが【呪術】かな)
真白は感じた違和感をシャーマンリッチのスキル【呪術】だと推測した。
そして、暫くそのまま戦ってみると。
(……どうやら【呪術】は相手のスキルやステータスを鈍らせるようだね。さっきから若干だけど【身体強化】や【危機察知】スキルが鈍ってる。そして身体能力も低下してる。…でも、これは個人差があるかな。推測だけど、魔力量によって抵抗力が違うのだろうね。私は魔力量は多いから気付くのが遅れたのかな?)
真白の推測通り、【呪術】は身体能力とスキルを低下させるスキルである。そして魔力量が多ければ、抵抗力も強くなる。
49階層の階層ボス、シャーマンリッチは【瘴気放出】と【呪術】で相手を弱体化させ、魔法攻撃で攻撃するのが本来の戦い方である。
(身体能力や【身体強化】、【危機察知】は若干鈍くなったけど、魔力量のおかげで大した事じゃない。……それに…私の攻撃用のスキルは全て装備に付与した物だから、恐らくだけど、まったく問題無いよね!)
ここで真白は様子見から反撃に出る。
「『エアブロウ』」
『グゥガァ‼︎』
シャーマンリッチが大きく雲後ろへと吹っ飛んでいった。
(やっぱり装備の付与スキルは問題無いね。じゃあ、そろそろ終わりにしようなぁ)
真白は立ち上がろうとするシャーマンリッチに近づいて、———
「知りたい事は殆ど調べたから、もう終わりにするね。…『フレアスパイラル』」
———炎の螺旋をシャーマンリッチに向けて放った。
『グゥガァァァァァーーー‼︎』
最後に大きな叫び声を上げて、ドロップ品を落とし消えていった。
「……ふぅ〜……あっ! 『亡者の邪魂』がドロップした! ラッキー!! これで12個目。他には魔石と……なんか錫杖の武器をドロップしたね。鑑定してみるか」
真白はシャーマンリッチが落とした錫杖を鑑定した。
[呪術の錫杖]
装備ランク:B
ス キ ル:【呪術】【闇魔法】
詳 細:【呪術】スキルが付与された錫
杖。一緒に付与されている【闇
魔法】と併用して上手く使えば
効率よく戦える。
「……これは、石井さん買い取ってもらうとしよう。……さて、50階層に向かって帰るか」
真白は転移陣で50階層へと向かう。
————————
青木ヶ原ダンジョン50階層
「なんだか瘴気の濃度が強くなってる……」
50階層に転移した真白が最初に感じたのが瘴気の濃度だった。
どうやらアンデット系のいるダンジョンは下層の中盤からが本格的にヤバい所みたいだ。
「取り敢えず、カメラの試運転と49階層の調査も終わって、もういい時間だからホテルに戻ろう」
真白は50階層から転移陣を使い地上へと戻って来た。
「んーー! さてと、取り敢えずカメラの電源を落とし———」
(〜〜♪ 〜〜♪)
「ん? 着信だ。誰だろう?………え、翠さん? 翠さんから電話は珍しいなぁ」
携帯に翠から着信がきて、珍しいと思った真白は電話に出る。
「もしもし、翠さんこんばんは。翠さんから電話してくるのは珍しいですね?」
『こんばんは、真白。………いい真白、今から言う事を落ち着いて聞いてちょうだい』
「? どうかしたんですか?」
『……………真白……今、あなたが探索していた姿が、ネットで生配信で流れていたわ』
「……………………………………………え?」
その時の真白は一瞬思考が停止した。
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