第65話  撮影(〇〇)!

『ガァァァァァーー………』


 48階層の階層ボスがドロップ品を残して霧のように消える。


「あ! 『亡者の邪魂』だ! よし、これで11個目。…やっぱり下層に来てからドロップ率が上がってる。深層なら更にあがるかも」


 真白は難なく48階層まで辿り着き、階層ボスを倒した。

 ここまで来て『亡者の邪魂』は11個。まあまあの成果だ。


「さて、49階層に行きますか」


 真白は転移陣で49階層へと向かう。


「下層も洞窟の様な光景は変わらないなぁ。でも、モンスター以外にも、トラップや地形の変化は激しいね」


 49階層に着くなり真白はボヤく。

 しかし、下層に来てからは、潜れば潜るほど、モンスターの強さ勿論、トラップの数や種類が増え、地形に関しては、僅かだが毒や瘴気を含んだ沼や、足場の悪い地面や崖などがあった。


「取り敢えず、ここまで来から動画撮影だね。えっと、カメラカメラ……よっと!」


 真白は時空間リュックから自立魔導カメラを取り出す。そのカメラはサッカーボールくらいの大きさだ。

 真白は、カメラを買う時、安物の小さな物でいいかと始めは考えていたが、これから今回みたいな依頼があるかもしれないからと、最新の高性能かつオプションで、データ容量拡張機能やエネルギー消費軽減機能、撮影の動きに着いて来れるよう自立高速演算機能などなど、妥協せずに購入した。しかも、合計が8桁である。

 後日、桐島が真白から領収書を受け取りその値段に驚く事になる。


「さてと、カメラとインターネットの接続、アカウントの設定は出来ているから、撮影時の画角や明るさとかの調整だね」


 真白はテキパキとカメラの設定をする。しかし、大きな問題がある。それは、———


「撮影の仕方は、


 ———真白が配信に興味はあまり無い為、のやり方が違うのを知らない。


「あっ、ランプが光った。これで録画開始だね」


 真白は、録画が開始したと思っているが、『LIVEモード』になってる事に気づかない。


「……おお! 浮いた! これで『録画モード』になったね。…………じゃあカメラの試運転も兼ねて、依頼の青木ヶ原ダンジョン49階層の探索しようか」


 こうして、49階層の探索を始める真白だが、録画ではなく、現在進行で生配信されているのを、気づいていない。


—————————————————————


LIVE配信 アカウント ——@masiro/white


コメント

:ん! 嘘!? な、何でいきなり!

:えぇぇぇーーー! 白岩真白! 

:なんで、彼女突然『生配信』始めてるの!?

:え! ゲリラ配信!? 何で突然?


『……おお! 浮いた! これで『録画モード』になったね。……———』


:あ、これ本人『録画モード』と『LIVEモード』間違えてるな

:おい! SNSやTwitterで情報が一気に広がってるぞ!!

:嘘だろ!! 始まってまだ間もないぞ!

:SSSランクがいきなり生配信始めたんだ。情報が広がって当然といえば当然だが……

:撮影(事故)!

:いくらなんでも早すぎる

:どんだけ暇人多いんだよ………


『じゃあカメラの試運転も兼ねて、依頼の青木ヶ原ダンジョン49階層の探索しようか』


:おい、なんか今爆弾発言が出たぞ

:青木ヶ原ダンジョンて言ったか。…確かあそこの公式最高到達階層ていくつだ?

:48階層だ

:え! じゃあ、記録更新したってこと!

:だろうな

:おい。とある筋から情報を得たんだが、どうやら探索者協会が彼女に49階層以降の階層の情報収集を依頼したらしい

:あ〜…それで、カメラで録画するつもりが間違えて生配信と

:しかも未だ本人は気づいてない

龍也:白ちゃん…何やってるの……

翠:真白! 気づいて!

桐島:と、取り敢えず急いで電話を…

天月:ましろちゃんは探索中には絶対電話に出ないわ……


『よし! 行くか…Let’s go〜』


:なんか…のんびりしてんなぁ

:49階層程度じゃ怖くないんだろうな

龍也:ん〜………このまま観るのも面白そうだな! 白ちゃんの普段の探索も見てみたいし!

:石井さんがノリノリで草

:でも、そうだなぁ

:確かに見てみたい!

:いや〜、楽しみだ!

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