第62話 真白にとって、配信動画は〇〇
青木ヶ原ダンジョン内の情報を動画撮影する依頼を受けた真白だが、肝心のカメラが無い。
現代では娯楽として、ダンジョンを攻略するダンジョン配信者がいる。しかし、残念ながら真白は配信などにはあまり興味が無かった。
真白は動画をまったく観ない訳では無い。しかし、真白にとって、配信動画はただ情報を得る為の手段(道具)としか考えていない。ましてや真白は人見知り、自分で撮影して動画配信など決してしない。
『困ったなあ。今時の高校生は持っていると思っていたのだが……』
「今時の高校生で無くてすいません…」
『あぁ、いや、…決して悪い意味で言った訳では無い。ただ、2、3年ぐらい前から自立魔導カメラが発売されてから、安物でも探索者以外も持っている若者が多いから、てっきり持ってるのかと思って……』
「大丈夫です。わかってますから」
『そうか……それならまず、カメラだな。探索者協会で貸出しておるから、今回はそちらから借りておくれ』
「………あの、もしかしたら今後、この様な依頼てありますか?」
真白はふと、思った事を訊いてみた。
『……恐らくあるかもしれない。だが、白岩さんの場合、受けるかどうかは自由だ。無理に受ける必要はない』
「そうですか。…因みにですけど、私が撮った動画の情報はどの様に使いますか?」
『? 普通に動画に映っているモンスターの名称や姿、攻撃手段などを纏めて、資料にするだけだが……』
「………なるほど。資料にするだけで、情報は売るわけではないんですね?」
『? …あぁ、情報は各協会と共有する事や、探索者に詳しい情報を話す為に使う』
真白は桐島から動画の情報の使い道を詳しく訊いた。
「分かりました。…あ、カメラはこちらで購入するので大丈夫です」
『……よいのか?』
「はい。今後もあるかもしれないなら、いちいち借りるのも面倒くさいので、自分のを購入します」
『……そうか、態々申し訳ない。…そうだ、なら、カメラ代は私の方で持たせてくれ』
「いや、自分のなので大丈夫ですよ」
『こちらの都合で購入するのだ。せめてこれくらいはさせてくれ。…まあ、SSSランクになったお祝いのプレゼント、もしくは必要経費だと思ってくれ』
どうやら、桐島が自前で払ってくれるらしい。真白は厚意に甘える事にした。
「ありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただきます」
『あぁ、そうしておくれ。………しかし、本当に礼儀正しいの……馬鹿息子と大違いだ』
「ありがとうございます」
『依頼については、終わり次第こちらに連絡しておくれ。その時に手続きの話しをする』
「分かりました。その時はよろしくお願いします。では、失礼します」
『あぁ、気をつけてな』
真白は電話を終えて、予定を変更する。
「まず、協会に行って、ホテルにチェックインして、そのあとにカメラの購入だね」
真白は頭の中で、この後の予定を整理して、協会に向かう。
しかし、この依頼が、後に大変な事になるとは、この時の真白は思っていなかった。
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