第61話  驚愕の金額

「ふぅ〜。…着いた」


 家を出てから約1時間、真白は山梨県甲府市の人気のない公園に着陸し、徒歩で甲府駅まで来た。


「さて、まずは拠点のネカフェでも探———」


 (〜〜♪ 〜〜♪ 〜〜♪)


 真白の携帯に着信があった。相手はなんと桐島だ。


 ピッ


「はい。白岩真白です」

『白岩さん。少しいいかね?』

「はい。けれど手短にお願いします」

『わかった。……白岩さん。龍也君から聞いたのだが、宿泊で青木ヶ原ダンジョンに潜るみたいだね』

「はい。日曜の夜に帰宅する予定です」


 桐島は龍也から話しを聞いているようだ。


『それで、どうやらネカフェに泊まるみたいだね』

「はい。そうですが」

『ネカフェより良い所がある。探索者協会と提携しているホテルだ』

「ホテル…ですか?」


 真白はホテルの話しが出てきたことに疑問に思った。


『探索者協会と提携しているホテルなら、ネカフェより安く宿泊できる。それに白岩さんのランクなら、完全個室にベット、風呂にシャワーに大型テレビ、プールなど、それにVIP用のルームサービスを受けられる』

「…あの……それって高級ホテル並みのサービスですよね? 何でそれがネカフェより安く宿泊できるんですか?」

『実は協会と提携しているホテルなどの施設は、現金だけでなく、魔石支払いもできるのだよ』

「魔石支払い。…聞いた事ないですね?」

『Sランク以上になるとそのようなサービスがあり、2〜3日泊まるのに大体下層の階層ボス2〜3体くらいの値段で済む。白岩さんの事だから深層に行くのだろう?』

「はい。そのつもりです」

『それに、SSSランクはVIPルームサービスは無料だから、かなりの待遇になる。…ネカフェより良いと思うのだが……どうかな?』

「確かに有難いですね。では、そちらのホテルに泊まらせて頂きます」

『ああ、場所は甲府駅の近くにある探索者協会山梨支部で訊くとよい。………それと、もう一つ、白岩さんに依頼があるのだが……』

「何でしょうか?」


 どうやら、桐島は他にも用件があるらしい。


『青木ヶ原ダンジョンは現在48階層までが攻略されておる。だから白岩さんに、49階層以降の階層を動画撮影してほしい』

「…なるほど、ダンジョン内の情報の提供ですね。分かりました。引き受けます」

『ありがとう。依頼料は前金500万、下層は1階層毎に15万、深層は70階層までが30万、80階層は40万と10万ずつ増えていく』

「…………………驚愕の金額ですね。……あの、前金が何故そんなに高いんですか?」

『協会は探索者に依頼を出す時、成功や失敗に関係無く支払う事になる。まぁ、人件費だな。ランク毎に高くなり、白岩さんはSSSランク、高くて当然だ。因みに、今回は国内の情報収集だから500万だが、討伐依頼だと800万、国外だと最低1500万になる』

「…………………………高ランクの探索者が儲かる理由がよく分かりました」

『ハッハッハッハッ! そう言う事だ。気楽に頑張ってくれ』

「分かりました………」

『まぁ、49階層からを自立魔導カメラを使って各階層をぐるっと回りながらモンスターと戦ったり地形やトラップを撮ってくれればよい。持っているだろう……』

「……………すいません、会長さん」

『ん? なんだね?』

「…私……自立魔導カメラを……持ってません」

『………え?』

「……………」


 早速、問題が発生した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る