第60話  青木ヶ原ダンジョンへ、さあ行くぞ!

 夏休みが明けて数日、学校では未だに真白の話題が尽きない。しかし、真白は、ボッチオーラ(※つもり)を出して話し掛けられない様にしている。


「はぁ〜、…やっと明日から休みだ」


 金曜日の放課後、明日から土曜日で休みになる。学校での周りの視線や声などで、ストレスが溜まって来ている。


「もう、これはダンジョンに潜って発散するしかない」


 夏休みが終わってからの真白は、学校に行ってはストレスを溜めて、ダンジョンでストレス発散、そして帰って生産活動をする。これの繰り返しだ。

 お陰で、真白が主に活動している横浜ダンジョンは、たった一人の少女のストレス発散で過去の階層到達記録67階層を上回る、73階層に更新された。


「ふぅ〜……横浜ダンジョンは少し飽きて来たし……何処か別のダンジョンに潜ってみようかな……」


 真白はここ数日、戦闘(ストレス発散)と生産がマンネリ化していて飽きがきている。


「休みだし少し遠いダンジョンに行ってみるのもいいかなぁ………………………………あ!」


 真白の顔が何か思いついた様な顔になる。

 そして、真白はすぐに行動に出る。


「———………お母さん! ちゃっと泊まりで行きたいダンジョンがあるんだけど、…………———」


—————————


『……で、土日の休みを利用して、遠出のダンジョンに行くのかい、白ちゃん』

「はい! 最近マンネリ化していてつまらなかったので」


 龍也と電話で話しながら、これから予定を話す。


「今から行って、現地のネカフェでも拠点にしようかなと」

『今からかい? 学校は終わったばかりだろ? ………何処のダンジョンへ行くんだ?』


 龍也は嫌な予感がして、真白に訊いた。


「青木ヶ原ダンジョンです」

『はあぁ!!』


 龍也が驚く。まぁ、無理もない。


『いやいや白ちゃん、あそこに行くの? 確か行った事ないでしょ』

「はい。だから今から行くんです。今日中に中層までは行きたいので」

『今から行っても日が落ちるよ?』

「石井さん、忘れてませんか? 私、空飛べるんですよ」

『…………………………………』


 そう、真白は新装備の賢者の手袋ワイズマングローブのスキル、【魔法創作】で作った飛行魔法、『フライ』がある。飛んで行けばすぐに着くのだ。


『………白ちゃん、…なんとなく予想はできるんだが、………目的は?』

「勿論、『亡者の邪魂』の収集です!」

『………………だよな』

「そう言う事で、今週末は連絡取れないと思うので、アイテムの納品や依頼受けはできませんので、よろしくお願いします」

『………おう、……気をつけてな』

「はい!」


 真白は龍也との電話を終える。


「さてと、…いざ、青木ヶ原ダンジョンへ、さあ行くぞ! 『フライ』!」


 旅支度を終えた真白は、青木ヶ原ダンジョンへと、空高く飛びたった。

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