第50話 もう一つの解決策
ルーシーと真白達5人は、真白の探索者登録のランクについて話し合っている。
国際探索者協会は、真白の戦力が無視出来ない為、公表と共に真白には、探索者登録をしてもらう事になっている。
そして、登録するにあたり、登録カードを生産と戦闘の両部門を持つ必要性を無くす為、生産部門でなく戦闘部門に登録してもらうこと。
また、協会側の都合で探査者登録してもらう為、探索者に発生する依頼は協会側は強要せず任意で受けて良いとのこと。
現在はここまで決まっている。しかし、問題は真白の『探査者ランク』についてであり、国際探索者協会は正当な評価として、SSSランクの実力が有ると評価したが、反対する国(主にアメリカと中国)がある為、なかなか決まらず、登録申請出来ない状況である。
「この様に、現段階ではここまで話は進んでおるが、先程言った通り、大国のアメリカと中国の発言は無碍に出来ない。そこで、SSSランクのモリス様が白岩さんを推してくれていると、発言し何とか説得しようと思う」
「『因みに、残りのSSSランクの『魔剣王』と『閃光』の2人も、マシロのSSSランクの認定に賛成してるわ』」
桐島は今後の考えを述べた。真白は、戦力面では、『深層レイドボス単独討伐』、『SS級ダンジョンスタンピードの終息』と探索者の貢献度では、生産職として、『スキルオーブ』や『自動魔石稼働具』、『高品質の素材』などのアイテム生産力を、それに加えてSSSランクのルーシーが真白を推す発言(他2人も賛成)で、説得するつもりらしい。
反対してる国の探索者協会も流石にここまでされたら、反対は出来ないだろう。
これが、桐島やルーシー、賛成派の他国の探索者協会の考えである。
「確かに、ここまでやられたら折れますね」
「反対し続けると、流石に反対派は色々非難されそうね」
翠と相良は、この考えに賛成らしい。
「……………白ちゃん……どう思う?」
「確かに確実に説得は出来ると思います。…ですが、私はこの考えに余り賛成できません」
真白の発言に、龍也以外は疑問を浮かべる。
真白が確実に説得は出来るのに何故賛成しないのかがよくわからないようだ。
「やっぱり、白ちゃんはそう答えるか」
「『なるほど、そういう事ですか』」
龍也と通訳のシャーロットは理解したようだ。
「どう言う事、龍也?」
「『シャーロット、何か問題でもあるの?』」
翠は龍也、ルーシーはシャーロットに訊く。
しかし、その疑問に真白が答える。
「簡単に言うと、このやり方では、問題は解決するが、根本的には何も変わらないと言う事です」
「「?」」
「「!!」」
翠とルーシーは余り理解できてないようだ。しかし、桐島と相良は理解したらしい。
「確かに確実に認めさせるなら、良い案かもしれません。けど、これは強引に意見を押し通すような案です」
真白は、自分の考えをどんどん言う。
「アメリカは完全実力主義の国です。恐らくあちらは、私の戦闘面についてはしっかり評価はしてるでしょう。けれど、完全実力主義なだけあって、生産職冷遇の考えがまだ強く、おまけに自国にはSSSランク探索者を抱えてない事にプライドが傷ついて、生産職の私がSSSランクに認定されるのがやなんだと思います」
そして、真白はこの案の一番の問題点指摘する。
「そしてもう一つ、アメリカの発言を無視出来ないのは、大国だからでわなく、探索者の質は総合的には世界でもトップクラスだからで、この案で私がSSSランクになったら、アメリカとの関係に溝ができてしまう可能性があります。それが原因で外交面で関係悪化になり、何か救援や支援を願いでても、アメリカは『難しい』と、仲のよく無い国に言うかもしれません」
「「!!」」
どうやら、翠とルーシーも理解したみたいだ。
「中国に関しては、完全に自国のダンジョン資源の問題難を近隣の国、しかも小さな島国の日本がダンジョン資源で潤うのがただ気に食わないだけです。無視していいでしょう。だから、今回はどの様にアメリカと遺恨を残さず説得できるかが鍵となります」
真白が説明を終え、問題の指摘と解決の方針を口にした。
「確かに、真白の言う通りね」
「こうして言われると、この案はましろちゃんの言う通り、ただの意見の押し通しね」
「『そうね。問題を解決する事しか頭になかったわ』」
「…………」
翠と相良、ルーシー、桐島も真白の考えに納得する。目先の事しか考えず、その先の事まで考えられなかった。
「『しかし、こうなると説得するのはさらに大変になるわよ』」
「もし、説得して受け入れてくれるにも、きっと条件かなんか突きつけてくるぞ」
ルーシーと桐島は更に迷ってしまった。これから先の外交関係を考えるとこの案を採用するのに躊躇ってしまう。
だが、真白にはこの方法以外で説得できる可能性がある案がある。
「よは、アメリカさえ説得出来れば今回の件は解決できるんですよね。なら、面白い方法がありますよ」
「「「「「??」」」」」
真白は不敵な笑みを浮かべ、自分の案を述べる。
「アメリカに借りを作らせるんですよ」
「「「「「『え?』」」」」」
真白の案に全員訳がわからず、首をかしげた。
「すいません。言葉が足りません出した。簡単に言うと、アメリカの利益になる事をして借りを作らせ、私のランクについての要求を承認してもらって、借りを返してもらうんです」
真白の言う案を全員何となくだが理解した。だが、それでも懸念がある。
「そう上手くいくかしら?」
「むしろ余計に難しいと思うわ」
「確かに意見の押し付けの面は余り無いが、他国の事に首を突っ込むのは危険を伴うぞ」
「『それに、あちらも馬鹿では無いわ。実力主義なだけあってプライドも高いし、簡単に借りを作らせてくれるとは思わないわ』」
「白ちゃん、作らせるにしても相手が何を要求して来るかわからないぜ。何かいい案があるのかい?」
全員が真白の案は流石に無理だと思うと考えるが、真白は違う。
「そうですか? アメリカが大きな利益を得る事になる方法は一つありますよ? 探索者にしかできない方法で」
「……白岩さん、その方法とは?」
桐島が真白に問い、真白はそれに応える。
「20年前のA級ダンジョンスタンピードて、確かアメリカのアラスカ州のフェアバンクスダンジョンですよね? 現在はダンジョンの直径数十kmがモンスターだらけで、災害地区になっているせいで、SSS級ダンジョンになってしまったんですよね……」
「「「「「『………………』」」」」」
ここまで言われて全員真白の考えが完全に理解出できた。しかし、真白に向けるその目は、『こいつ、正気か!?』の目である。
「A級ダンジョンは、資源が多く手に入り、災害地区の解放により、土地も増える。私はただこちらの案を承認して欲しいだけ。それ以外何も求めません。…アメリカはどう思うでしょうね?」
そして、真白はまた、不適切な笑みを浮かべて、———
「元A級ダンジョンの災害地区の解放を、私1人で行います」
———そんな非現実的な案を言い出した。
—————————————————————
SSSランク探索者
1人目 ?????
通称:『魔剣王』
2人目 ?????
通称:『閃光』
3人目 ルーシー・モリス
通称:『絢爛の魔女』
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