第23話  悩みの相談

 場所は変わって、『光の癒し』の客室に真白達は移動した。今ここには、真白と佳織、星歌の三人ともう一人、星歌の母親にして『光の癒し』のクランマスターであり、世間では、『聖母様』と呼ばれているSランク探索者、天月相良あまつきあいらの四人がいる。


「ふぅー。いつもごめんね、ましろちゃん。こんな娘の相手してくれて」

「はい……。でも、大変失礼ですけど、もうこれは治らないと思います」

「そうね…。私はとっくの昔に諦めたわ」

「ましろもママも失礼だわ。人を変人扱いするなんて」

「「本当の事でしょ!!」」

「ま、まぁまぁ…真白も天月さんも落ち着いて。…とにかく本題の話しをしましょう!」


 佳織が話しを進めるため、まとめ役をする。この四人で集まると毎回こうなる。


「そうね。取り敢えず、久しぶりね、ましろちゃん。先日の動画は見たわ。……本当に心配したんだから」

「心配おかけしました。本当にすいません。けど、今はこうして、元気に動けてます!」

「それは結果論よ、ましろちゃんの無茶苦茶な行動は、いつも驚くのに、今回は一番驚いたわ」

「本当よ、ましろ! わたしも心配したのよ! ましろに何かあったらどうしようて!」

「はい。反省はしてます」

「ちゃんと反省しなさい。…それに、怪我とか大丈夫? …そういえば、何回か吹き飛ばされてたわね。体に傷痕は無いの? あるならわたしが治すわ! だから服脱いで!!」

「そっちが本音だろ! 変態聖女!」

「星歌! あんたはもうしゃべるな!!」


 星歌の変態発言に真白の罵声と相良の怒声がとぶ。これくらいは、いつもの事なので、佳織は静かにお茶を飲んでいる。


「まぁいいわ…。さて、早速だけど、本題の話しをするわ」


 相良が真面目な声で話し始めた。他の三人も真剣な顔になる。


「話しの内容は、今回のましろちゃんの件なんだけど、『暁月の彗星』と『生産組合』だけでなく、私達のクランも関係を持っていると思われて、あちこちから質問が来てるの」

「どうしてそちらに質問が?」

「どこかの変態馬鹿が、ネットで呟いたからよ。まったく…」

「だって、あの時焦ってて、つい……」

「まぁ、過ぎた事はもういいわ。…それで一番の問題はここからなのよ」


 相良は、難しい顔で話しを続ける。


「知っての通り、『光の癒し』の中で、ましろちゃんと関わりがあるのは、私と星歌の二人だけでしょ。どうやらそれが、クラン全体が知っているんじゃないかって、まだ一部が誤解しているの」

「否定しなかったんですか?」

「勿論したわ。けど、私達のクランは探索者だけでなく、一般人も相手するから、そこからも質問されてるみたいで、だからメンバーの子たちも質問されてるのよ。『戦の剣』と『協会』の方も未だに疑ってるし、メンバーの中にも情報を公開しろと言う声も上がってる始末よ」


 相良はとても疲れきった声で話してくれた。真白は自分のせいでこうなってしまった事に、罪悪感をいだく。そこで、どうしたらいいか考えたら、———


「あっ!」


 ———そこで真白が、なにかを思いついた声を上げた。


「どうしたの真白?」

「ましろちゃん? なんか思いついたの?」

「なになに、ましろ! 早く教えて!」


 三人は、真白の思いついた案が何なのか気になり始めた。


「えぇ! 実はですね————………」


 真白は自分の考えた策を話すと、佳織と相良は微妙な顔をしたが、星歌は面白そうな顔をしてる。


「真白、そんな事して大丈夫なの?」

「かおりちゃんの言うとうりよ。…それに、石井君も困るんじゃない?」

「いや。むしろ石井さんは賛成してくれますよ」


 真白はこの案を、帰ったら早速、龍也に相談すると決めた。

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