第14話  闇の暴風獅子王

 バン! バン!

 

 戦闘が始まると同時に真白が通常銃と魔力銃の2丁拳銃スタイルで先制攻撃を仕掛ける。真白の戦闘はほとんど毎回先手で攻撃して———


「避けられた。やっぱり思ったより速い」


 ———このように、相手実力を分析して戦うのがほとんどだ。そして、相手が予想より強そうな場合には、———


「【真理の天眼】、【鑑定】」


 ———【真理の天眼】の相乗効果で【鑑定】を使い相手の実力を見る。


⚫︎ダークテンペスト・ザ・ビーストキング

 スキル:【剛力】【疾走】【魔法耐性】

     【闇魔法】【嵐魔法】【雷魔法】

     【土魔法】【風魔法】【水魔法】

     【身体強化】【威圧】


 鑑定結果はこうである。階層ボスのスキル数は4〜5つであるが、レイドボスは最低でも7つ以上もある。

 真白は獅子王のスキルで厄介なのは、【疾走】と【嵐魔法】、【雷魔法】と判断した。

 【疾走】は自身の走る速さを魔力により、2〜4倍の速度で走る。

 【嵐魔法】は【風魔法】と【水魔法】、【雷魔法】は【風魔法】と【土魔法】の複合魔法で、より強力である。


「速さで勝負したら勝ち目はない。【闇魔法】で攻撃と拘束、弱体化。【雷魔法】で広範囲攻撃、【嵐魔法】で防御してくるだろうね。おそらく回避力も高い」


 この一瞬で真白はありとあらゆる事を考えて戦略を練って、どんな時にどのような対応するかを決める。これは真白が思考速度が常人より速いからできる戦法だ。


『ガァッ!』

「…っ! ハァッ!」 (バン!)


 高速で距離を詰めて来た獅子王を躱わすと同時に通常銃を撃つ。見た感じ余り効果は無いようだ。真白は腰に掛けてるポーチに武器を仕舞い、新しいく片手剣とレールガンを出し切り替える。


 ズバン!


『グッガァァァァーー!』

「よし! レールガンなら捉えられる」


 避けると同時に引き金を引く。その弾は獅子王の右後ろ脚に直撃し機動力を削ぐ。


「もう一発反対の脚に——っ! わっと!!」


 キレた獅子王は前脚で【身体強化】と【剛力】を使い上から叩きつけて来た。ギリギリ回避できたが、私がいた所は大きく凹んでいる。避けなければ終わっていただろう。


『グゥゥゥ、ガァ!』


 獅子王は広範囲に暴風を作り雷を発生させた。どうやら魔法攻撃に切り替えたみたいだ。【嵐魔法】で暴風の壁を作り、雷で侵入を拒んだ。


「【飛翔】! 暴風壁を張っても、真上はガラ空きだよ!」


 ズバン! ズバン! ズバン!

 真白は相手の暴風壁より高く飛び、真上からの攻撃をした。真白の言う通り、暴風壁は強力だが、台風の目ように真上はガラ空きなのである。

 真白の弾丸が獅子王の体を掠める。獅子王は咄嗟に【闇魔法】の『シャドーダイブ』で身を隠す。しかし、真白の目は魔力の流れが見える。


「後ろからの奇襲ね! よっと!」


 真白は後ろからの奇襲に対応して横に飛ぶが、ここはまだ空中である。【飛翔】で避けても空中を蹴るが、それよりも速く相手の【風魔法】が真白を襲う。


「きゃっ!!……うぐっ!」


 真白の身体は数メール飛ばされて膝を付く。視線を戻すと、獅子王が腕を振り下ろして来た。咄嗟に片手剣でパリィの要領で受け流すが風圧だけで壁まで飛ばされ背中に衝撃がはしる。

 しかし真白はいつのまにかポーチから回復ポーションとお手製の広範囲爆弾を何個も取り出しており、飛ばされると同時に爆弾を獅子王の足元に爆弾を投げる。


 ドッドッドッドッドッカーーーァンーー!!


 超高威力の爆弾を大量に投げつける。それ は獅子王の周り約半径100メートルの大規模の爆発だった。その間にポーションを飲み体の傷と体力を回復させる。

 肝心の獅子王は大規模爆発に巻き込まれたにもかかわらず大した傷は無い。けれど足止めにはなった。


「私の目の前で足を止めていいの?」

 

 ズバン! ズバン!


 真白は獅子王の両前脚を撃ち抜いた。これで速さだけでなく力も少し削ぐ事ができた。けど決め手に欠ける。

 しばらく攻防が続くが獅子王は攻撃を喰らってはいるが、致命傷になる攻撃だけは必ず避ける。見た感じまだ魔力残量はあるみたいだ。真白はポーションやアイテムはまだまだあるが、それでも獅子王の高威力の魔法と物理攻撃もろに食らえば終わりである。持久戦だと不利な為、短期決戦で決着を着ける事にする。

 真白はそう考えて、切り札を使うことにした。けどその為には、なるべく近づく必要がある。


「チャンスは一度きり。これで決めてやる!」


 勝負は終盤、真白は最後の大勝負に出るのであった。

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