第13話 道中
新宿ダンジョン65階層、真白達はレイドボスエリア付近まで来た。
「すいません。私の我儘の為に…」
「本当よ! 真白! アナタの我儘には昔から苦労したけど、今回はとびっきりよ! 多分『
「アッハッハッハー!」
「笑い事じゃないよ! おじさんとおばさんも卒倒しそうだったのよ! てか、今からでも電話しなさいよ! 本当に心配してるんだからね! …それに何!? そのなんかのアニメに出てくるデザインの仮面! 防具すらアレなのに仮面までしたら痛々しいわよ!」
真白は佳織の言葉に少し反省しながら進む。でも周りから見たら真白は本当に反省してるのか仮面のせいでよくわからない。
「大丈夫、私は死ぬ事は無いよ……説得力ないけどこれでも“命を大事に”でダンジョン潜ってるから」
「本当に説得力ないわよ! そんな説得力のない言葉、アタシの人生で初めて聴いたよ!」
真白と佳織がそんな言葉のやり取りをしながら歩いていると、いつの間にか大きな扉がある所まで辿り着いた。この扉の先がレイドボスエリアだ。
「着いたわよ。少し待って、今龍也に電話するから…翔、真白にカメラの使い方教えてあげて」
「OKー、姉貴。佳織ちゃん、真白ちゃん少し借りるぜ」
翔は真白に自立魔導カメラのレクチャーを受ける。
「龍也、レイドボスエリア前まで来たわ」
『…結構早かったな…流石と言っておくよ…』
「あなた…さっきまで無かったのに、所々顔が腫れてるわよ?」
『あぁ…俺が白ちゃんの後押ししたら、白ちゃんと仲のいい幹部連中からボコボコにされただけだ…』
「当然ね、ちなみに帰ったら私もあなたをボコボコにするから覚悟しておきなさい」
『……もう勘弁してくれ…っ! ちょ! 麗花、なにす——『どきなさい! 真白ちゃん! 聞こえてるでしょ! 真白ちゃん!』』
「……麗花さん…はい、聞こえてます」
なんと、電話に麗花が乱入して来た。
『何考えてるの!? 今からでも考え直してちょうだい! お姉さん今回ばかりは許せないわよ!』
「お説教は帰ったら受けます。だから止めないでください」
『正気!? クラマスはともかく、他の幹部連中は全員反対してるのよ!!』
「麗花さん、私は自分の意思で覚悟を決めて来たんです! もう誰が名と言おうと止める気はありません!」
『でも真白ちゃんは、——『もうよせ! 麗花! これ以上の説得は無駄だ!』——っ!』
「石井さんすいません。ありがとうございます」
『なに、いいって事よ! その代わり、白ちゃんの本気の戦闘をしっかり見せてくれよ! なんだかんだで、まだ俺以外の皆んなには、白ちゃんの本気、見せた事無いんだろ? この際思いっきり戦いな!』
「勿論です!」
『翠ちゃん、俺達は新宿ダンジョン入り口で待機してる。必要そうなポーション各種があったら転移陣で取りに来てくれ。俺の財布から金は出す』
「翔! 今から転移陣に向かってポーション各種300ずつ受け取りに行きなさい!」
「了解、姉貴! 数人連れてくぜ!」
『な! ちょ!? えぇー!? 俺もし足りなくなりそうならって意味で言ったつもりなんだが!?』
「あら? そうなの、麗花さん?」
『いいえ。クラマスは自腹でポーションを提供するつもりだったわ』
『麗花!!』
「そう言う事だったらよろしく。…さて真白、準備はできたかしら?」
「はい。いつでも行けます」
「改めて言うけど、危険と判断したら迷わず私達は救助に入るわ。…カメラは扉を開けたらすぐ回してちょうだい。ただ、生配信だから、私達だけでなく世界中の多くの人が見る事になるけど、いいのかしら?」
「石井さんの条件を受け入れる時点で納得しています。多分石井さんなら、私が勝った後の事を考えてくれています」
「…本気で勝つつもりなのね。その自信は何処からくるのよ?」
今の真白は、精神を落ち着かせ集中状態に入っている。これは真白が冷静に強敵に挑むために必ずやる儀式みたいなものだ。
「では、行って来ます」
「真白! 絶対無茶して死なないでよ!」
「大丈夫だよ佳織、私を信じて。…翠さんも、本当にありがとうございます」
「…健闘を祈るわ」
『白ちゃん、頑張れよ!』
真白は皆んなに見送られながら、目の前の扉を開ける。言われた通りカメラを回し、生配信になってることを確認し、カメラを自立行動させる。カメラは空中を飛びながら動き出した。
真白が前に進むと直径1キロぐらいの空間があり、その中央に奴はいた。
「さあ……その首もらうよ。このクソ獅子!」
漆黒のたてがみ立たせ、黒光りすら肌を持った奴も、真白の存在に気づき立ち上がりその鋭い眼光ともに威圧を込めて大きな咆哮を上げた。
『ガァアアアアアアアアーーーーッ!!』
今、真白VS
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