第9話 真白の計画
「んーー、やっと終わったー!!」
隣りで佳織が大きな声で呟く。
石井さんとのやり取りから一週間と少し、私は、期末試験を終えた。あとはテスト返却と終業式だけである。その後は夏休み、ダンジョンと生産作業に集中できる。
「真白ーテストどうだった」
「いつもどうり。そこそこだと思う」
「真白のそこそこは当てにならないよ。普通にトップクラスの成績だから」
「普段から授業を真面目に受けてるからだよ。そしたら後は、自分の努力次第思うけど」
「アタシは勉強が苦手なのー」
そんな事言う佳織も恐らくいつもどうり中の上くらいの成績だと思う。あまり人の事言えないのでは?
「ねぇ真白、今日一緒に帰らない? 久しぶりに寄り道して行こう! それと三連休だし偶には一日中遊ぼ!」
「…誘ってくれたのにごめんね。三連休はとても大事な用事があるから、また今度でもいい?」
「? もしかして、重要な生産依頼が入っているの?」
「生産依頼じゃないよ。そんな事よりも重要で大事な用事」
「?? そっか、そしたらしょうがないね。時間ができたら一緒に遊ぼ!」
「本当にごめんね。…もしその時間があったら、一緒に遊ぼ」
「約束だよ!」
「………うん、約束する。…それじゃ私帰ってやる事あるから、またね………」
「うん! また火曜日にね! …………真白、なんか様子変だったな?」
いつもと様子がおかしい真白に不安を抱く佳織。しかし佳織もまだ知らない。真白がこれからやろうとしているある計画を。
————————————————————
真白は帰宅して早々にある準備をして家を出た。そして、しばらくしてから、携帯で翠へと電話を掛けた。
————————
『あら真白、あなたから突然電話なんてどうしたのかしら?』
「……翠さん、実はとても大事な話しがあって電話しました…」
『…どしたのかしら? 真白の頼みで私にできる事なら、何でもしてあげるわ』
「では、単刀直入に言います。翠さん…今そちらのクランで計画してる、新宿ダンジョン65階層のレイドボスの攻略を、先に私にやらせてください」
『…………………………ッ!! 貴方、本気で言ってるの!?』
「こんな事、冗談でも言いません」
『…他に誰か知ってる人は?』
「今翠さんに初めて話しました」
『……真白………理由はやっぱり、貴方のお兄さんが原因かしら?』
「………………………………」
『真白、よく聴いて、いっときの感情や興味、名声のためだけに命を落とした人が沢山いるの…だから私は賛成できないわ。やめなさい』
「翠さんならそう言うと思いました。けど、これだけは譲ることはできません。なので、もう私、新宿に来ています。62階層まで行った事あるので、そこから65階層まで向かいます。……すいません」
『ちょ!! 真し——』(ブッ!)
————————
〈翠視点〉
「ちょ!! 真白! 真白!?」
電話を切られた翠は、慌ててかけ直すが繋がらない。真白が本気だと思うと翠は————
「あ〜〜〜〜! もう!! 何考えてるのよあの子は!? 新宿ダンジョンはS級ダンジョンなのよ!」
————ただ頭を抱えて叫ぶことしか出来なかった。そこえ室内に翔入ってくる。
「姉貴、何奇声上げてんだよ? 廊下までまる聞こえだ——」
「うっさい! 今話しかけんな!」
「お、おう!?……ど、どうした。なんか様子変だぞ!?」
翠は頭の中のがこんがらがっていだが、けれど、これでも大規模なクランのクラマス、直ぐに冷静になる。
「翔! 緊急事態よ! 急いで佳織と幹部全員にこちらに来るよう連絡して! 理由は後で説明する! 私は今から『生産組合』に連絡するから!」
「お、おう、わかった!? 急いで連絡してくる!?」
そう言って、部屋から出て行った翔を見合った翠は急いで龍也に連絡した。
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