第5話「法の質疑」

苦渋の決断で

その罪状を言い渡す

など、ある訳ない

私は君ほどの理念に立っていない

だから便宜上の采配だ


まぁ死ぬがいい

君は殺しを楽しんだろ

だから死ねばいい

それが言える決議だ


もうとう人は死ぬが

それを早めた事に

なぜ罪が成り立つか

もうとう君は理解してない


それでも社会ではそれを

罪という

君は罪を背負うことを覚悟で殺したか

それとも罪など思う前に殺したか


どちらだ

もしも君が心神喪失のまま殺したなら

罪ではない

それは自己防衛という形で

精神的な副作用として処分される


言えば精神病棟で回復まで待ち

再び世を歩ける

君はどっちだ

罪の意識はあったか

無かったか


それが法の抜け穴だと

私は知ってる

君を生かすも殺すも

君の中の正当性で決まるんだ


だから言え

その殺意は、一方的であったのか

それとも、殺される前に殺したのか


君の質疑を述べろ

私がそれを踏まえて君に天誅を下す


さぁ言え

君に悪意はあったか?

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