第4話「犯罪欲求」

そもそも悪の魂胆など

害したいからという野心からではない

また楽をしたいなんて事でもない

では何か


それは過信的な自己陶酔であるのだ

悪とは無視できない存在だ

そこにスリルを覚え

ハイリスク・ハイリターンのメカニズムに沿って

駆け引きを楽しむ


それが犯罪的欲求である

では、罪を失くすには、罪を裁くでなく

心身のケアも必要である


犯罪とは殺しであれば死刑と

盗みなら書類送検と

差異は多分にある

だが罪の重さが人格に比例してる訳ではない

どちらの犯罪的快感も

同じなのだ


つまり殺しで満足する者

ものを盗んで満足する者

その双方は、対して変わりないのだ


故に盗んだそいつは

人殺しを手掛けるのもまた

想像できる現実である

故に、罪を見て、人を見てはいけない

人を見て、罪を想像するのが

何よりの抑止力になるだろう


ではそこのあなたに問う

私はどう見える

私から想定される罪を教えてくれ


なに、臆するな

罪なき人はいない

何を言おうが構わないさ


では、改めて

私に当たる罪を見定めてくれ


出来ずとも出来るようになれ

罪と無縁な人間などいないのだ

今から磨いておけ


生きる為の洞察力を

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