夢の話

ワイドショーで現在が2023年だと理解した会田だった。

その後、 電話で会田は母親と話をして現状を理解したのだった。


「・・・・・じゃ、 じゃあ今までずっと眠っていたって事?」


震え始める会田。


「確かに信じがたいかもしれないが事実だ

とりあえず待っててくれ、 君達の担当医の飯田教授が来る」

「なぁ・・・本当にそう・・なのか?」


会田がか細い声で尋ねる。


そう・・・・・って何が?」

「本当は現実こっちが夢じゃないのか?」

昏睡っている間に良い夢を見てたのか?」

「・・・・・」


会田は頭を抱えた。


「何もかも嘘だったのか? いや」


会田は立ち上がり棒を振るった。

凄まじい怪力だった、 とても今まで昏睡していた人間とは思えなかった。


「だってちゃんと力は有るじゃないか・・・」

「それは俺には分からん、 脳のなになにが云々とかで

力が出せるかもしれない」

「・・・・・」


会田が和田に近付き眼を見た。


「・・・・・和田、 俺の眼を見ろ」

「うん? 見たけど?」

「ここは本当に現実か?」

「しつこいって、 現実だよ」

「・・・・・」


愕然とする会田だった。


「・・・他の皆は?」

「他の皆? クラスメイト達か? 彼等も昏睡ていると思うが・・・」

「会わせてくれないか?」


詰め寄る会田。


「それは教授に頼まないと」

「大事な事なんだ!! 皆が待ってる!! ・・・かもしれない」

「誰だよ皆って・・・」

「・・・・・」


一呼吸置く会田。


「俺は異世界で勇者をやっていた」

「そうか」

「そうかって・・・・・てっきり馬鹿にされるかと思ったが・・・」

「とりあえず全部喋ってくれ」

「あ、 あぁ・・・」


会田は滔々とうとうと語った。

自分は異世界で勇者をやっていた事。

魔王を倒すべくクラスメイト達と共に戦っていた事。

四天王を倒して魔王城へ突撃した時に目が覚めた事。

詳しい話は1時間程かかったが要約するとこうなった。


「それで今に至るんだ・・・」


頭を抱える会田。


「なぁ・・・本当にここは現実なのか?」

「現実だよ、 ただお前の意識が異世界に行っていたかもしれないから

異世界での勇者云々は本当に会った事か分からない」

「・・・・・」


会田の眼は潤んでいた。


「和田さん、 飯田教授が来ました」

「そうか、 会田、 担当医が来たから後はその人に話して

優秀な教授だから親身になってくれるだろうさ」

「・・・分かった」


会田はゆっくりと立ち上がった。

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