終わった物

「まずお前達は修学旅行中に事故に遭ったんだ

お前達が乗っていたバスがトラックにぶつかって

崖から転落してお前達は昏睡状態になったんだ」

「・・・・・何で君は無事だったんだ?」

「俺、 修学旅行に行ってないから」

「・・・何で?」

「県内の遊園地って高校の修学旅行で行く所じゃないからバックレた」

「・・・・・」


怪訝そうな眼をする会田。


「・・・君はどうやって医者になったんだ?」

「どうやってって普通に大学に行って「大学!?」


驚く会田。


「何で驚く? 俺には医大に行ける位の学力は有るよ」

「そうじゃない!! 何で1年も経ってないのに大学に行ってるんだ!?

いや、 大学卒業までしてるじゃないか!!」

「お前が何を持って1年としているか分からないが

もう既に10年経ってる

「嘘だろ!? そんな馬鹿な事あり得ない!! 証拠は有るのか!?」

「そこのジャンプ見てみろ」


食堂に置いてあるジャンプを指差す。


「2023年・・・だと?」


愕然とする会田。

ジャンプを手に取り中身を確認する。


「・・・・・ふん、 偽物だ」

「なんで?」

「こち亀が無い」

「終わった、 2016年に」

「嘘おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!!?」


叫ぶ会田。


「気持ちは分かる」

「じゃ、 じゃあ銀魂は?」

「終わった」

「NARUTOは!?」

「終わった、 Vジャンで続編のBORUTOをやってる」

「BLEACHは!?」

「終わった、 今アニメで最終章やってる」

「トリコは!?」

「終わった、 最近グルメスパイザーがブームになってる」

「ワンピースは!?」

「今月は休載だけど続いてる

この間、 五老星の戦闘シーンが出て来た」

「あいつ等戦えるの!? Hunter×Hunterは!?」

「現在休載中・・・・・コレ、 今の携帯」


そう言ってスマホを取り出す。


「スマートフォンはもう有ったじゃないか」

「5G対応」

「なっ・・・4G通り越したのか!?」

「あぁ「いや、 待て、 母さんを呼べ!! 家族と話をさせろ!!」

「それは無理だ」

「何でだ!?」

「電話番号知らないし引越してる」

「じゃあ上に確認取りましょうか?」


警備員が提案する。


「そうしよう、 暫く待っててくれ」

「あぁ・・・・・」


この状況を受け入れ始めた会田。


「・・・・・テレビ点けてくれ」

「テレビ? あぁ、 何を見る?」

「この時間帯なら・・・いいとも、 いやワイドショーを」

「いいともも終わった」

「嘘ぉ!?」

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