初対面

「・・・・・立て籠もっている?」


怪訝そうな眼をする和田。


「えぇ」

「・・・・・どういう事ですか?」

「起きたと同時に興奮して暴れまわって・・・」

「そうじゃなくて昏睡から目を覚ましたばかりならば取り押さえる事は容易では?」

「凄いパワーで暴れまわって私達では取り押さえられません」

「・・・・・」


溜息を吐く和田。


「帰っても良いです?」

「気持ちは分かりますが説得して下さい」

「10年の昏睡から目覚めて暴れまわる危険人物と関わり合いたくないですよ!!

冗談じゃない!! そういう荒事は貴方達の仕事でしょう!!」

「本当に申し訳無い・・・つきました」


そうこうしていると食堂に辿り着いた。

食堂はドアが破壊されており周囲に警備員達が陣取っていた。


「お願いします」

「お願いされても嫌です!!」

「労災降りますから」


ぐいぐいと無理矢理食堂に押し込められる和田。


「ちょ、 押すな!! 押すな!!」

「・・・和田か?」


食堂の机でバリケードの様な物を組んである所から声がする。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・会田か?」


学生時代のおぼろげな記憶を頼りに尋ねる和田。

確か彼はクラスの人気物の会田、 だった気がする。

特に関係も無かったがクラスの有名人、 だった気がする。


「お前・・・何でここに?」

「何でって・・・この病院で働いているから?」

「病院? 病院だと? そんな馬鹿なありえない・・・」


ブツブツと呟き続ける会田。


「パニックになるのは分かるが落ち着いてくれ」

「落ち着け!? この状況でか!?

皆を置いて俺一人だけでのうのうとはしてられない!!」


パイプ椅子を投げられる和田。

和田の横をすっ飛び椅子は壁に激突した。


「・・・・・」


壁に激突した椅子を拾い立て直し、 座る和田。


「話し合おう、 互いに怪我も面倒も避けたいはずだ

状況を説明させてくれ」

「・・・・・」


会田は手に棒を持っていた。

恐らくモップを折って作ったのだろうか

その棒と椅子を持ってやってくる。


「嘘は吐くなよ」


久々に見た会田はの印象は骨と皮だった。

10年前に剣道の全国大会に出場した頃とは大違いだ。


「嘘を吐いてもしょうがないだろう」

「・・・・・こうしてみると君と話すのも初めてだな」

「話す機会なかったしなぁー」

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