第4話 昭和のマンガ②

若い方々は。

驚いたことでしょうね。


主人公の鉄郎が。

原作では背も低い不細工少年だったことを。


そうなのです。

昭和の時代は。


イケメンのキャラは。

ライバルか敵役(しかも悲惨な結末の)なのです。


あの頃は。

容姿が良い人は性格(人格)が悪い。


そういう。

レッテルがあったのです。


信じられないでしょう?


でも実際、ドラマなんかでも。

あの「石●鉄夫」がモテモテの主人公だったのですから。


どう見ても。

三枚目以下の中年が。


アイドル相手に。

ラブコメを演じていたのです。


当時ではイケメンだった。

「中●雅俊」でさえ、「俺達の旅」ではバンカラ役でした。


三日間、風呂に入っていないとか。(笑)

ありえない設定で演じられていました。


「戦争の名残り」なのでしょうか。

「容姿が良い」イコール「軽薄」のイメージがあって。


イケメン男優は「大根役者」という不条理なレッテルが貼られたのです。


話が「マンガ」から逸れていますね。(笑)

とりあえず「松本零士」さんの漫画に戻します。


「男おいどん」というマンガを御存知でしょうか。

漫画歴史に残る名作ですが。


主人公の「おいどん」と口癖する少年が。

バイトしながらする「貧乏生活」を綴った物語です。


「銀河鉄道999」と同じように。

何故か美女が廻りにいて嬉しい体験をして、読者に感情移入させる作品です。


ストーリー自体は今のラブコメと同じように。

何も取り柄の無い主人公が「何故か良い目」を受ける都合の良い展開ですが。


今回の話の趣旨はそうではありません。

主人公が不細工なのは百歩譲るとして。


さっきの「●村雅俊」と同じように。

そう、「不潔」なのです。


何と。

主人公の「おいどん」は。


下着を洗わないのです。(笑)


何十枚もの同じ柄の「しましまパンツ」を。

押し入れに貯め込んで。


そこから発生する。

「サルマタケ」というキノコを。


お金が無くて。

腹が減った時に食べるのです。


出前にとった大好きな「ラーメンライス」。

それにトッピングして(笑)、悦に入って食べているのです。


当時の進少年は。

それを「美味しそう」だと思っていたのです。(笑)


信じられないでしょう?


何か月も押し入れに貯め込んだパンツに生えたキノコ。

それを食べるなんて!


でも。

当時の飲食店は同じようなレベルだったのです。


どんぶりが欠けているのは当たり前。

少し変な匂いがしていても、「たまにできる外食」の贅沢で消されてしまうのです。


他にもありますよ。


最もインパクト強いのが。

「包丁人、味平」


漫画通には有名な。

「元祖グルメ漫画」です。


「●次郎」さんの原作で。

「骨だけの鯛の遊泳」や「アイスクリームの天ぷら」に衝撃を受けました。


主人公の父親である有名割烹の料理人の技ですが。

伝統を重んじすぎる実家から飛び出して新しい「味」を目指す少年の奮闘記です。


それは素晴らしコンセプトなのですが。

登場する料理が「何だかなぁ」なのです。(笑)


当時の進少年は違和感なく読んでいましたが。

今、読み返すととんでもないのです。


一番、インパクトのあるエピソードを紹介します。


主人公の味平が挑む「料理勝負」の一場面です。

全体のストーリーは殆どが勝負場面ですが。


記憶は薄いのですが。

確か、下積みの頃に有名シェフと勝負する羽目になって。


その人がイケメン(あくまでもマンガ上ですが)で。

料理界の貴公子(笑)という設定でした。


勝負名は「潮(うしお)汁」。

塩だけを使った「椀物」の味比べでした。


塩だけ。

すなわち、水とのバランスや御湯の温度が決め手で。


料理の基本中の基本。

これで料理の技量が分かる。


幼い進少年は。

フンフンと、頷きながら読んでいました。


いやいや。

ちょっと、待ちなさい。


塩だけのお湯でしょ?

別に美味しくないでしょう?


昆布もカツオブシも使わなくて。

うま味が全くないじゃないっ!


今の進オジサンは突っ込みます。


でも。

当時の漫画界は湧いたのです。


これこそが。

究極のグルメだと。


とりあえず。

話を進めます。(笑)


一応。

究極の「塩味の汁」は良いのですが。


審査委員は。

各、料理界の重鎮(本当かぁ?)。(笑)


居並ぶ人々の前で。

二人は鍋に向かって料理を始めます。


流石、貴公子。

使う塩は取りよせた「天然岩塩」。(記憶違いなら、ごめんなさい)


しかも絶妙のお湯の温度と塩を投入するタイミング。

なるほど、プロだと「塩湯」でも美味いんだ。


進少年は感心しました。

今の進オジサンも一応は納得です。


先に審査員に差し出して賞賛を受けた「貴公子」はドヤ顔です。


焦る味平。

自分の塩は平凡で(ここは僕がつくっているかも)お湯の温度も分からない。


どうする、味平!

(どこかで聞いたフレーズ)


焦りで汗が吹き出します。

頬に伝った汗が、ポトリと。


うん・・・?


違和感を覚えた方。

鋭いです。(笑)


勝負の時間は刻々と終わりに向かいます。

益々、焦る味平。


更に汗が伝わります。

何滴も「鍋の中」へ。


えぇ・・・?


そうです。

味平の汗が「鍋の中」に入ったのです。


時間切れで。

仕方なく味平は審査員に「塩味の汁」を差し出します。


うな垂れる味平。

ドヤ顔で微笑む貴公子。


誰の目にも。

勝負の結果は明らかでした。


・・・の。

筈、でしたが。


審査員の評価は。

味平の勝ちでした。


審査員の講評では。

(詳しくは忘れましたが)


味平の汁が僅かながら。

貴公子の汁よりも塩味が濃くて「微妙な味わい」があったそうです。


えぇっー・・・!


当時の進少年は。

主人公が勝利したことで納得しましたが。


今の進オジサンは。

昭和の時代って凄いと、今は思います。


あのぉ・・・。

もしもし・・・?


汗、でしょう?

汁の中に汗が入って、美味しくなったなんて。


今なら。(当時でも)

保健所に捕まりますよ。(笑)


営業停止、でんがな。


昭和のマンガ。

恐るべし!(笑)

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