いじめられっ子の少年、蒼は祖父に連れられ、ひと夏を田舎で過ごすことになった。山登りや釣りなど、田舎ならではの暮らしを味わい、都会での辛い日々を忘れかけた蒼だったが、そこでタヌキの子と出会う。
やがて、タヌキの子と打ち解け合うと、彼から物語を託されることに。
田舎の牧歌的な風景が瑞々しいタッチで描かれており、時折挟まれる幻想的な事象を盛り上げている。少年と子ダヌキの出会いから、人々が忘れてしまった神々や国作りといった壮大な物語が甦っていく場面は圧巻。
ひとりの人間の成長が風の記憶を呼び起こすジュブナイルファンタジー。