37:※ケイオスを探すマリア


 ※ケイオスが追放される前あたりの話です


 

 ー・ー・ー・ー



「クーラが居ないの!」


 クーラが行方不明な事をケイオスに相談した。


「うーん、これまでそんな事は無かったのか?」

「無かったよ! ずっと一緒だった!」

「何かあったのかな……」


 ダーラとゾーラが倒された後。

 ケイオスと暮らそうと思った矢先にクーラが居なくなった。


「何か心当たりは……」

「無い……でもクーラは時空間魔道士だからどこでもすぐにいけるから……」

「うーん、クーラさんをどうにかできるヤツはそう簡単に居ないはずだけどなぁ」

「うん……クーラ強い……けどなんだか嫌な感じがするの」

「困ったな……」

「ごめんね、ケイオス困らせて……もっと探してみる……」

「俺もケイトと一緒に探してみるよ」


 本当にどこに行ったんだろう……

 クーラが居ないと何も出来ないよ……

 居なくならないでよ……



 ー・ー



 クーラを探していたら今度はケイオスまで居なくなった……


「なんでみんな居なくなるの……」


 訳が分からなかった。

 悪い魔族は居なくなったはずなのに。

 何が起こってるの?


「ともかくケイオスの匂いを辿って……」


 ケイオスを探して彷徨う。





「この辺にケイオスの匂いがする!」

「ってアンタ!」


 ケイオスの匂いを辿ってきたら人間が居た。


「うーん? 誰だったっけ?」

「ケイトよ! ケイオスと一緒にはぐれ魔族倒す作戦協力してたケイト!」

「あー、知ってる気がする!」

「気がするじゃなくて知ってるはずでしょ! そういうアンタはマリアでしょ!」

「そうマリア! よく知ってるね?」

「わかるわよ! そんな強い魔力垂れ流してうろうろしてたら! 抑えなさいよ! 目立つから!」

「あ! そうだった! いつもクーラに言われてたの忘れてた……」


 いつもクーラに怒られてた事を思い出した。

 私は力を抑えないと周りに影響が出るみたい。


「それで、まさかあんたもケイオスを探して?」

「そう! ここケイオスの匂いがするから!」

「すごい嗅覚ね……ってか匂いってそんなにケイオスの匂いを嗅いだの?」

「嗅いだよ! いい匂いだよねーケイオスって。好き♡」

「こ、こいつ! やっぱり!」

「クーラもケイオスもどこにいったのかな……」

「……ケイオスならこの辺に居たはずよ、これを見て」


 ケイトが何かの紙を取り出す。

 紙を見ると地図の様なものが描かれていて赤い点が点滅している。


「ケイオスはこの赤い点の所に居るはずなんだけど……」

「へぇー便利! 頂戴これ! 欲しい!」

「あげないわよ! 私がケイオスと契約したんだから!」

「けいやく?」

「私から離れないっていう約束よ! だからこうして居場所が分かるようにこっそりと呪文を……」

「私もケイオスから離れない!」

「はぁ! 私よ!」


 ケイトもケイオスが好きなの?


「嫌! 私の方が好き!」

「な、な、なによ! こいつ!」

「それよりこっちからケイオスの匂いする!」

「あ、待ちなさいよ!」


 匂いを辿っていくと空き家の地下室にたどり着いた。


「あ! ココよ! ココにケイオスが居たはず!」

「ホントだ! ケイオスの匂いがする!」


 ん? 何かキラリと光るものを見つけた!


「あ! これケイオスの匂いがする!」

「どれ? 指輪?」


 すると急に背後から人の気配が現れた。


「! 危ない!」

「え? きゃ!」


 ケイトが私を突き飛ばした!

 と思ったら、何かの魔法がケイトに当たって消えてしまった……


「ちっ! ケイトに当たったか、先に強い魔王を飛ばしたかったが」

「だ、だれ?」

「初めまして、魔王さん、ボクは勇者だよ?」


 小さい人間の子供だ。

 勇者? この小さな子が?


「クーラ、コイツも飛ばせ」

「え? クーラ?」


 するとクーラが闇の中から現れた。


「クーラ! 探したんだよ!」

「おや、そうだったのか、感動の再会だね」

「クーラ、ケイオスが居ないの! 一緒に探して!」

「……」

「クーラ? どうしたの?」

「ざんねん! クーラさんは僕の命令しか聞かないんだよね!」

「どういういみ?」

「んー、コイツなんかアホっぽくて、話すのめんどくさいなぁ」

「むぅ! アホじゃないもん!」

「馬鹿丸出しの喋り方で何言ってんの? これが本当に魔王なのか?」

「マリア魔王だもん!」

「はー、仕えてた魔族達が可哀そうだねーこりゃ、まあいいや。飽きたからもう本当に飛ばせ」

「……」


 クーラから魔法が放たれる。


「クーラ……どうして……」

「悲しむ必要は無いよ! ケイオスには会えるだろうからね! それじゃ、さようなら魔王さん!」




 ー・ー



「ちょっと! 起きなさいよ! 寝てる場合じゃないわよ!」

「うーん? ここどこ?」

「知らないわよ! アンタを庇ったらここに居たのよ! 何があったの?」

「クーラが……勇者が……」

「クーラさんと……勇者が居たの?」

「うん……クーラは返事してくれなくて……クーラの魔法でここに……」

「ふうむ……クーラさんは操られてたのかも? 勇者ってユウトよね?」

「ユウト? わからないけど子供の人間だったよ」

「多分ユウトね。アイツが黒幕か……ガキだと思って油断した……」

「でもね! ケイオスに会えるって言ってたよ、その子供」

「! ならここにケイオスが居るってこと?」

「うん! でも、ここどこ?」

「知らないわよ! 一緒に調べるわよ! かならずケイオスを見つけてやるから!」

「私もケイオス探す!」

「そうだ、私の地図は……」


 さっきの赤い点は消えていた。


「なんで? 地図から赤い点が消えてる……」

「それケイオスが居る場所分かるやつよね?」

「そうよ、さっきまで赤い点がついてたでしょ」

「……もしかしてここはその地図じゃない場所なのかも」

「どいう言う事?」

「クーラが私たちに使った魔法は転移に似てた」

「なるほど! って事は……どこ?」


 周辺は見渡す限り森だった。


「とりあえず人の居そうな所に行かないと!」

「そしたらケイオス見つかるかな?」

「見つかるはずよ! いえ、必ず見つけるのよ!」



「「すぐ行くわ! ケイオス!」」






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