29:学科でガッカリ、育ってビックリ
「魔防もSSランクですねーコレ」
「それでも足りないくらいよ!」
「本当にそうかもですねースゴイ」
第一科目の基礎能力測定結果は
魔力:F
魔防:SS
敏捷:SS
となった。我ながらバランス悪い。
「ちなみに採点は全部S評価で100点満点! 配点は魔力50点、魔防と敏捷が25点ずつでしたので……」
「ど、どうなるの?」
「んーSSは2倍って事で25点×2倍×2項目=トータル100点にしますー!」
「そんなのアリ? 実質満点じゃないの!」
「まあ異例ですけどねー、能力も異例だったとおもいますし妥当かと」
基礎能力は100点満点か……
しかし第一科目っていう位だからまだ終わってないよな……
「ちなみに第二科目の学科試験で100点満点、第三科目の実戦試験で300点満点のトータル500点満点になってまーす」
聞こうとした事を先に言われた。
読心術でももっているのか?
しかし、残りは学科と実戦か……
「100点取った時点で合格は決まりましたが点数次第でクラス分けが変わりますよー」
「クラス分け?」
クラス分けはこうなるらしい。
Sクラス:400点以上(10人程度)
Aクラス:300点以上(30人程度)
Bクラス:200点以上(60人程度)
Cクラス:100点以上(100人程度)
人数は大体毎年そのくらいになるらしいという目安。
「私はもちろんSクラスよ!」
「さっきの学生証に魔術1-Sって書いてありましたね」
「魔法・魔術で2つに分けられ、1~3年で更に3つに分けて、その後に各ランクごとのクラスに分かれるんでーす」
なるほど、タバサさんと同じクラスは無理か。
同じ魔術でも、年齢が違うから当然か。
「Sランク目指して次は第二科目の学科試験ですよー」
「ぅ」
「ぅ、じゃないわよ! 私がこれまで教えて来た事、忘れてないでしょうね!」
「多分……」
「ちょっと! 点数悪かったら怒るからね!」
正直あまり自信が無い。
この世界では魔法が基盤のせいか皆が当たり前に字の読み書きが出来る。
俺はかろうじて幼少期にケイトから教わっていたから読み書きが出来るけど、普通の教育は受けた事が無い。
ってか、今更だけど異世界なのに文字や言語は同じだな……
当たり前すぎて疑問に思わなかった。
ギルドの制服も同じだったしなんとなく共通点が多い。
まあよくわからん、今考えても仕方ないか……
試験に集中しよう……
「お疲れ様でしたー魔術科希望という事で魔術寄りの問題でしたー」
「ぅぅしにそう」
「すぐに採点しますので少しお待ちを!」
「えっ! そんなにすぐに?」
俺にとってはかなり難しく感じた。
タバサさんとの修行が無ければ絶対無理だったのは確実だ。
しかし、択一式の問が多くて助かった……
わからなくても最悪は勘で答えられるから……
「……採点終わりました!」
「はやっ!」
「何点ですか!」
何故か俺よりタバサさんが前のめりで点数を聞いている。
「それでは発表します……ドゥルルルルルルルルルル……ジャーン! 55点です!」
「「びみょー」」
「まあ赤点ではないので学科は今後に期待と言う事ですねー」
「まあ……及第点ね!」
「……そうですか、良かった……」
すげぇ微妙だった、良くも無く、悪くも無く……
特に二人の感想も無く……
「さ! 次はいよいよ最後の実戦試験ですよー」
「そ、そうだ! あのお願いがあるんですが!」
「はい? なんでしょう?」
実戦があるならこれは絶対頼まないと……
「俺の魔力0なんで絶対攻撃無理じゃないですか?」
「敏捷と魔防で無敵ですけどねー」
「そうなんですが、試合にならないと思うのでテイムしたスライムと一緒に戦っても良いでしょうか?」
「テイムしたスライム? テイム魔法が使えたんですか?」
「……まあそんな感じです、スライムが居れば勝負になるのですがどうでしょうか?」
「使い魔を使役する魔道士も居ますのでOKですよー」
使い魔ってのはテイムとはまた違うのかな?
前の世界にもでっかい鳥に乗った魔族とか居たけどああいうヤツかな?
「よかった! ちょっと急いで連れてきます!」
善は急げと俺は全力ジャンプでギルドへ戻った。
文字通り一っ飛びでギルドまで辿り着いた。
学園との距離は結構近い。
ギルドの中へ入るとミィを抱っこしたターニャさんの姿が見えた。
「あっ! ケイオスさんっ、今日は学園で用事だったんじゃっ?」
「おはようございますターニャさん、すみませんがミィとチィを連れて行ってもいいですか?」
「えっ? 何かあったんですかっ?」
「キュイ?」
「ちょっと学園で模擬戦みたいなのをやるのでミィとチィの力を借りようと思って……」
「そうなんですねっ、ミィちゃんはココに居ますが、チィちゃんはギルド長と一緒に出掛けてて……」
「そうですか……とりあえずミィだけ連れて戻ります!」
「わかりましたっ! ギルド長が戻られたら伝えておきますっ!」
「すみません、ありがとうございます! いくぞミィ!」
「キューイ!」
ミィはペタっと俺の顔面に張り付いた後、いつもの様に俺の肩に乗った。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃいっ!」
ミィを肩に乗せて再び一っ飛びで学園に戻る。
「戻りました!」
「はやっ! もう行って戻ってきたんですかー!」
「はい! 一っ飛びで! そしてこいつが俺の相棒のミィです!」
「キュイ!」
「わー! 可愛いですねー! 抱っこしていいですか?」
「キュ!」
俺の返答を待たずにミィはヘキサさんの胸へ飛び込んで行った。
「キュウ」
「可愛い……テイム魔法覚えたくなってきましたー!」
「本当、可愛いわね……ケイオスはこのミィちゃんと一緒に戦うの?」
「そうです、俺の代わりにコイツが攻撃を」
「キュキュ!」
「普通もっとなんかごつい魔物だったりをテイムする人ばかりなんで珍しいですねー」
「……まあ、ミィは強いですから大丈夫です!」
以前見た時はレベル60位だったと思うからそこらの魔道士よりは強いはず。
……一応、戦いの前に今のミィの状態を見ておこう。
名前 :ミィ
レベル:223
種族 :スライム3
属性 :水
魔力 :2007
魔防 :2007
俊敏 :3345
スキル:【鑑定】、擬態1、魔包4
……レベル上がるの早くない?
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